【三浦コラム】NDP(建国記念日パレード)、NDR(建国記念日演説)、そして総選挙へ

 いつか?と今年に入って国民の中でも話題になっていた総選挙の開催が9月11日となりました。

 2015年に入り、3月のリークワンユー元首相の国葬に始まり、SG50と名付けられたシンガポール建国50周年の山場・8月9日の建国記念日当日の例年を上回る盛大なパレード、そして8月23日の建国記念演説後の8月25日に発表された9月11日の総選挙。

 シンガポールにとって、ひじょうに慌ただしい1年です。

miura-aug15 リークワンユー元首相の国葬では、日頃政府にシニカルな態度でいる人々を含めて国民が一緒に、深く元首相の死を悼んだ事が忘れられません。そこには我々はシンガポール人だ!というアイデンティティを強く感じました。
 そして、今年は特に50周年という事で、盛大なNational Day Parade(建国記念日パレード)では、国全体の高揚感を見て取れました。50の文字を成して飛ぶ戦闘機や花火なども、会場にいずとも、マリーナの方へ足を延ばして楽しんだ方々も多いのではないでしょうか?

 8月23日に行われたリーシェンロン首相のNational Day Rally(建国記念日演説)は、国民に対する福祉政策の発表などがあり、そして言葉の端々には総選挙を強くにおわせるものがありました。これまでの50年、そして先を見据えてのこれからの50年という具合に、未来志向の話が印象に残りました。

 首相の演説の中でも触れられましたが、シンガポールは常に外国人労働者の問題が避けて通れません。
 前回の選挙戦とその後を思い起こすと、私達日本人を含む外国人労働者へのビザ諸条件を含めた具体的な話がこの選挙において争点となり、諸政策になっていく事も否定できません。
 その演説の中では、新生児に対する補助の増加や父親の出産時の休暇増加などはあったものの、例年の様に強く印象に残るものは見当たりませんでした。うがった見方をしますと、選挙戦で何かその様な発表をするのでは?と思えます。

 とにもかくにも、シンガポールでは人的層の厚さからしても、選挙で政権が代わる事はありません。
 よって、選挙日までの政府与党の国民に対する政策発表には注目する必要がありそうです。勿論の事、野党の主張(前回多く言われたのはSingaporean First「まずはシンガポール人!」でした)をうまく政策に取り入れる与党ですので、野党が何を主張してそれを選挙後に政府がどう対応していくかも見ていく必要があるでしょう。