【三浦コラム】3月シンガポール予算発表で注目は外国人ビザ規定

 シンガポール政府が国民に政府方針を明示する機会として、8月のNDR(ナショナルデーラリー 建国記念日後に首相が行う演説)と3月の翌年度の予算発表があります。これらにおいては、特に国民が注目する内容も盛り込まれて発表されるのが通例となっています。

 今回の予算発表では、我々外国人(日本人)にとっても、自分自身の就労ビザ(Employment Passとシンガポールでは呼ばれています)と扶養家族のビザの取得・保持規定に関して変更がないか?が気になるところです。

 予算発表前のこの時期に何故かDP(Dependant Pass = EP保持者の扶養家族が持つ滞在ビザであり、現在EPを持つ人の月給は5000ドル以上と規定 2016年3月現在)の総数とLOC(LetterOfConsent DPの人を雇用企業が当局に就労申請し、承認されたもの これを得る事でDP保持者は就労ビザを申請する事なく就労可能)申請数が発表されました。
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2011年17,300人中1,400人がLOC取得、2015年9,900人中1,700人がLOC取得
これを見るとこの5年でDP数は減っていますが、LOC数は逆に増加しています。

miura-mar-16 また、シンガポールに住む日本人の方々は既にご存知だとは思いますが、とある大手日系企業のメインビジネスからの撤退とそれに合わせて、社員の解雇が行われました。知名度のある企業という事だけでなく、その時期がまだ旧正月のお祝い期間中であり通例から外れている事もあって、シンガポールでも報道に取り上げられる程の話題となりました。
 法的には問題はない様に解雇を行ったはずですが、日本を代表する企業としては、他国の文化への配慮が足りなかったと思わざるを得ないといった見方もされてもいる様です。
 報道では国会議員のコメントが掲載されたのも気になるところです(シンガポールの国会議員は日本の地方議員を兼ねている様な存在であり、この国の労働組合のトップは閣僚となります)。
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 もう一つ、最近の傾向として気になる事があります。
 これは報道等ではうかがい知る事のできない事ですが、ここ最近EPの更新が却下される人がいるという事実です。
 一度更新許可を却下された後にアピール(再申請)したところ、ローカル社員を雇っていないから許可できませんと、明確に理由を告げられた日本人がいると耳にしました。

 現在のEP取得更新には、その当事者への給与額のみならずに、会社のローカル社員(この場合、シンガポール人)の有無が関係する方向になってきている様です。

 シンガポール人の雇用を守るのが、シンガポール政府の役割でもあります。国民の雇用と所得、この点にはひじょうに敏感に行動するシンガポール政府です。
 兎にも角にも、3月の予算発表詳細が待たれます。

当コラムでは、予算でビザに関する規定変更がある場合には、それについて取り上げる予定です。