【三浦コラム】2015年シンガポール予算についての考察

 2015年のシンガポールの予算が去る2月23日に担当大臣より発表されました。
 色々な発表の中で、注目すべき点。
・シンガポールで活動する企業にとっては、CPF(Central Provident Fund)という自己積立年金に関する負担増。
・富裕層誘致の方向転換とも捉えられる、富裕層に対しての増税。
 そして、予算段階で2006年からでは2009年に次ぐマイナス予算である事(これは実際最終的にはどの数字に落ち着くかは過去の例を見ても不明ですのでここではこの程度で)。

miura-mar2015 私達にとっては、特に先の2つが興味深いところでしょう。
CPFについては、高齢化が進むシンガポールでは、中間層が受け取れるお金を少しでも増やすという目的があります。
現在、CPFの計算の元になる月給の上限5,000ドルが、2016年1月から6,000ドルになります。また、50歳を超えて55歳まで(雇用主+1% 社員+1%)となり50歳までの掛け率(総合37%)と同じとなります。また他は60歳まで(雇用主+1%)、65歳まで(雇用主+0.5%)です。
 この中では、月給の上限が6,000ドルになる効果は大きく、54万4千人にも及ぶと発表されました。
 これらは企業の人件費上昇要因となると思えます。

 課税年収SGD320,000以上の富裕層への所得税増税+2%で22%となる事を発表しました。この事が日本のメディア等でも話題になった様ですし、一部の人達は富裕層が国外流失すると言ってもいましたが、私自身も実際あまり影響はないと思っています。
 では、どこの国に流出するのでしょうか?
 シンガポールは富裕層が安心して暮らし、ビジネスを行える素地を十分に備えた国になっています。その事はシンガポール政府も十分の自信を持った課税だと思えます。
 勿論の事、来年に控える総選挙に対する庶民(数%に満たない対象富裕層以外の人達)へのアピール的な行動とも言えるかもしれませんが・・・・・・。

 今年も例年の如く、さまざまな問題を克服する意思を、数字で広く国民に呼びかける予算発表という行事が終わりました。

2015年予算のオフィシャルウェブサイトはこちらです。一部ワーカーの企業が負担するLevy Feeが一部据え置きとなりました。ご興味がある方は、オフィシャルサイトもご参考下さい。