【三浦コラム】(費用・保険)社員が災害・事故などに巻き込まれた時

 残念な事に今月のコタキナバルの地震において、日本人1人を含む複数の犠牲者が出ました。シンガポールの学生も多く犠牲となり、さすがに今回の事には私自身も驚きを隠せない気持ちでいます。
 まずは、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 私達人間は自然という存在に対しては、ひじょうに弱いものだとこの様な災害があるたびに思えます。しかしながら、実は自然災害のみならず、日々の交通事故などにも枠を広げてみると、意外と身近な人がその被害にあっているという事例もあるのではないでしょうか?

 2014年12月『安全という事について、改めてシンガポールで考える』、2015年2月『安全対策に関する会社の体制と社員(その家族)の心構え』と安全に関しては、犯罪に巻き込まれるという視点で繰り返し書いてきましたが、今回は避けようのない自然災害や事故にあった場合を、対象を日本人(駐在員と現地採用)に焦点を絞って考えみます。
*対象を日本人に絞る理由は、シンガポール人とシンガポールに住み働く外国人スタッフまでに広げると一般的に語れない点がある為

 社員の出張時における自然災害や事故にあった場合の対応は、当然ながら業務内という事で、決められた労災として対処となろうかと思います。
 急ぎ、定められた緊急連絡方法において、「何が起きたか」「どういう状態なのか」などの現状把握の上、対処となるでしょう。

 では費用についてはいかがでしょうか?
 会社が契約している労災保険と社員個人名で入っている保険において、何か除外規定になっているかを把握しておく事が前提です。保険によっては、自然災害や政変などの騒乱による怪我等を除外している場合があります。
 日本からの駐在員の場合には、海外旅行保険を会社が一括してアレンジしている場合がありますが、現地採用の日本人の個人の保険については、どうでしょうか?駐在員の場合、たいていが保険を個人名で入っている場合も会社が保険料を負担しているでしょうが、個人負担で契約している方もいるやもしれません。現地採用日本人の場合、大方が個人で契約していると思われます。

jun15 もし、保険が適用できない事例に巻き込まれた場合の会社の方向性(費用対応)はいかがでしょうか?

 加えて、ここで留意すべき点ですが、出張に家族帯同で行く場合の家族の取り扱いです。
 会社の規定にもよると思えますが、近年近隣諸国に出張の時の家族帯同を認める会社も増えてきていると聞きます。帯同の場合、家族でかかる費用は自己負担、これもまた会社が一定額負担などの規定が会社により異なると思えます。また、勤務日と休日の取り扱いが異なるかも知れません。

 では、帯同家族が不測の事故に巻き込まれた時はどう対処するのか?

 何もなければそれはそれでよいのですが、何かあった時は?と言う思考も大事です。
 日本と異なり、医療費は莫大な費用がかかる場合もあります。
 駐在員であるか現地採用日本人であるか、勤務中であるか否か(勤務の時間規定も必要)、帯同家族は?それらの場合でチャート図を作成してみてはいかがでしょうか?保険対象外の場合の費用負担がどうなるのかも。

 何事も準備が肝要ですが、諸般の事情により、そこまでは至らないとお考えの会社の方でも、まずはこれらを1度考えてみる事をお勧めいたします。