【三浦コラム】シンガポールの内閣改造と次期首相候補
先日お知らせしました様に、シンガポールの内閣の改造が行われました。
5月1日からは改造後の内閣により、シンガポールの政治が執り行われています。
今回の内閣改造、巷で言われていたのは「今回の内閣改造で次の総理大臣が誰になるかがわかるだろう」というもの。
今までの後継者選びにおいては、かなり早い時点で次の総理大臣が誰になるのかが明確になっていました。
しかしながら現政権では、なかなか後継者が誰なのかはっきりとしない状態が長らく続いてきました。
昨年、現首相が「数年以内に総理大臣を辞める」と明言した後に、にわかに後継者が誰か?という話題が折に触れて持ち上がる様になり、今回の内閣改造で、候補者が絞られてきた感があります。
新聞にも取り上げられましたので、既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、今回の内閣改造から大きく3人が浮かび上がりました。
財務大臣 Mr.Heng Swee Keat(ヘンスイキャット) 57歳
教育大臣 Mr.Ong Ye Kung(オンイェクン) 48歳
貿易産業大臣 Mr.Chan Chun Sing(チャンチュンシン) 48歳
これを見ると候補と思われる3人が、過去の総理大臣同様に華人系シンガポール人である事がわかります。
シンガポール人の多数(国民・永住者の約74%)が華人系であることから、順当なところなのかも知れません。
ここで今までの首相の任期と就任時の年齢を見てみましょう。
シンガポールの歴代総理大臣 在任期間(総理大臣になった年齢)
- リークアンユー元首相 1965-1990 (41歳)
- ゴーチョクトン元首相 1990-2004 (49歳)
- リーシェンロン首相 2004-現在 (52歳)
*初代首相Mr.Lee Kuan Yewの場合は、シンガポール首相となる前に1959年から自治政府1963年からはマレーシアのシンガポール州の首相
改めて日本人の感覚から見ますと、シンガポールの総理大臣は若い年齢で就任する様にも見えます。
その真偽の方は定かではありませんが、シンガポール人の間では色々な噂も飛び交っています。
ただ、誰が首相になろうとも、シンガポールに住む外国人の我々としては、将来も今同様に安定した政権であって欲しいというのが望みです。
安定した政治があるからこそ、治安もよく、外国人も安心してその国に住み、経済活動を続けていけるのです。
シンガポールの成長戦略はこれから困難な局面にぶつかる事もあろうかと思えます。
兎にも角にも、今後この3人がどういう業績を積み上げて、シンガポールの総理大臣になるのかが注視されるところです。
首相の交代とシンガポール建国以来の総選挙日との関係は、総選挙後、次の総選挙との中間地点での首相交代が通常です。
・1988年9月3日の選挙日の後、1990年11月28日にリークアンユー首相からゴーチョクトン首相へ、そして1991年8月31日に総選挙
・2001年11月3日の選挙日の後、2004年8月12日にゴーチョクトン首相からリーシェンロン首相へ、そして2006年5月6日に総選挙
前回の総選挙は2015年9月11日でしたので、次期総選挙は遅くとも2021年初めまでに行われる予定です。
この次期選挙後の数年以内に総理大臣が代わるものだと思われます。
ただ、元首相の2人は総理大臣の職を辞しても、上級相・顧問相という大臣職で長らく内閣に留まりました。
2人の総理大臣経験者が内閣から去ったのは、2011年の総選挙後の事でした。
こういうことを考えると、現首相も総理大臣を辞しても、しばらくは次期政権を支える為に、内閣内に留まるのではないかと思われます。