【三浦コラム】米朝会議のホスト国、シンガポールの得たもの

今月はシンガポールが世界から注目された月でした。

皆さんの中でもテレビや新聞、そしてネットニュースなどで、シンガポールの話題を見聞きした方も多かったのではないでしょうか?

米朝会談が行われたセントーサ島周辺と両首脳が宿泊したオーチャード西側などの一部の地区が、サミット期間前後には特別警戒地区として指定されました(下記↓リンク PDF)。

file:///C:/Users/User/Downloads/20180606_TKS_Annex_B%20(1).pdf

日本に住む方々は、さぞやシンガポールに住む人達は迷惑したのでは?と思われたのかも知れません。

しかしながら、シンガポールの東に住む私などは、いつも通りに車を運転して、いつもと同じ時間にオフィス街に到着しました。

オフィス街は、いつもの通りの風景という具合に、該当地区に足を踏み入れなければ、全く影響を感じませんでした。

今回セントーサ島を使用するという事には、あの観光地の?という少しの驚きを感じましたが、シャングリラホテルなどは国際会議が頻繁に開催され、米国大使館も近く大統領も宿泊するホテルです。

あの周辺に住む方々はこの様な警備体制には慣れているというのが事実でしょう。

さて、シンガポール政府は今回のサミットの為に、日本円にして約16億円(2,000万シンガポールドル)もの費用を計上、最終的にシンガポールが負担した費用は約13億円(1,630万シンガポールドル)との発表がシンガポール外務省からありました(下記↓リンク)。

https://www1.mfa.gov.sg/Newsroom/Press-Statements-Transcripts-and-Photos/2018/06/240618–cost

しかしながら、各国からの報道陣や警備関係者が訪れて使用した費用や北朝鮮首脳を観光地に案内して、それをうまく報道させシンガポールをアピールする広告宣伝費を考えると、いかがでしょうか?

地元記事が参照したMeltwaterの分析によりますと、今回のサミット開催は7億6700万シンガポールドルもの価値を生んだものと試算されています(下記↓リンク)。

https://www.businessinsider.sg/singapore-may-have-gained-over-700m-in-exposure-as-host-of-trump-kim-summit-analyst-meltwater/

巧みなシンガポールの外交術を目にして、これは歴史的に培われたものと思えました。

会談の内容については、門外漢の私がとやかく言う事ではないでしょうが、ひとつ言えるのは『利を得たのはシンガポール』だという事です。

シンガポールに長年住む私としても、ちょっと誇らしく思えた米朝会談でした。

シンガポール本島から望むセントーサ島(写真)

両島間の移動には、車用と歩行者用の橋があり、その上をモノレール(写真左手)、そしてケーブルカーが設けられています(写真右手)。
また、シンガポール島側にはフェリーターミナル(写真右手)があり、隣のインドネシアのバタム島などに渡る高速船の発着の場ともなっています。