【三浦コラム】2019年度のシンガポールの予算発表について
2019年の予算発表に伴う政策、その中で「Sパスの縮小」は見逃してはならない点です。
2月18日にヘン・スイキャット(Heng Swee Keat)財務大臣によるシンガポールの2019年度予算発表がありました。
総合収支は、歳入921億シンガポールドル/歳出955億シンガポールドル(注)で、約35億シンガポールドルの赤字予算となりました。
- 歳入の上位は、投資のリターン(172億シンガポールドル)、法人税(167億シンガポールドル)、所得税(118億シンガポールドル)、消費税(117億シンガポールドル)。
シンガポールの金融政策の優秀さがわかるとともに、安いと言われる法人税や所得税が税収の大きな面を占めるという点も知ることができます。
- 歳出の上位は、国防費(155億シンガポールドル)、特別予算(153億シンガポール)、教育(132億シンガポール)、医療保険(117億シンガポール)。
徴兵制があるシンガポールの国防費の高さ(歳出の4.8%)が理解できます。
シンガポールの予算の数字を見ると、マクロ的に国の在り方が見えてくるのではないでしょうか?
さて、2019年度予算発表に伴う政策で、次の総選挙に向けと考えられる「新たな世代への支援金」などが組み込まれる中、シンガポールに住む日本人が注目したいのは、やはりSパスの枠の問題です。
サービスセクターに関わるSパスの取得上限が、現行の15%から13%(2020年1月から)、そして10%(2021年1月から)と狭まります。
*医療サービスなどの一部の業種は除外
日本企業のシンガポール進出は、ひと頃と比べるとかなり落ち着いたものの、まだこれらかもシンガポールに拠点をという動きは続いています。
また、既にシンガポールに進出している企業の経営陣やそこで働いている方もいらっしゃるでしょう。
外国人が貴重な労働力となっているシンガポールでは、必要な戦力の外国人が雇えないこと自体、企業活動の支障となるでしょう。
この措置がどういう影響をもたらすか、企業の規模縮小や外資企業(日系企業も含む)の撤退などないのか?など、様子を見る必要があろうかと思います。
シンガポールはこの先も自国民の雇用優先の方針は変わりません。
その結果によっては、政府が大きく政策を変更する総選挙も、今年・来年と言われております。
より国民向けの政策が出てくることも予想できます。
シンガポールで働く日本人の一人として、これからも当国の外国人政策からは目が離せません。
- 2019年度のシンガポール予算に関わる政策抜粋は下記をご確認ください。
(注)本文上の「歳入」「歳出」の記載は、正確には一部が別収入・別支出になりますが、理解しやすいようにそれらの表現にしております。