【三浦コラム】フェイクニュース防止法施行(2019年10月2日)について
既に各種ニュースでも報じられていますように、シンガポールでは、10月2日よりフェイクニュース防止法の運用が始まりました。
インターネットでうその情報、フェイクニュースの拡散を禁じる法律がシンガポールで施行されました。内容が事実かどうかは政府が判断することになり、国内の市民団体からは表現の萎縮を招くとして反対の声が上がっています。
NHKニュースより
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191003/k10012110081000.html
現代社会では、インターネットを利用している人は、知らず知らずのうちに正誤が明らかでない情報にさらされているのは事実です。
- インターネットの情報規制が正しいのか?
- それでは誤りがそのまま広がるのが正しいのか?
- 正誤を精査して、判断するのは誰であるべきか?
これらの判断は、ひじょうに難しいものがあります。
ある意味規制の少ないインターネット空間を共有する日本人には、この法律は何なんだろうと首をかしげる人も多いのではないかと思えます。
また、シンガポール人は情報の閉ざされた社会に住んでいるのではないか?と勘違いする人もいるかも知れません。
しかしながら、英語を自由に読み書きできる世代のシンガポール人は、インターネットの英語情報に接する機会が多く、日本人が日本語だけで得る情報量の比ではありません。
反面、シンガポールは国家の成り立ちや歴史から、国民(多民族多宗教)が互いに尊重し合いながら共存するということを大切にしており、行き過ぎた言論や行為に対しては、厳しい態度で挑んでいます。
日本に住む外国人が日本の法律に従うように、日本人の感覚からしたら厳しすぎるなと思えることがあろうとも、法律の順守はその国での生活には大切なことです。
シンガポールに住む日本人として、
- 誰が発信しているか明確でない根拠のない噂話に接した場合、それを第三者に転送したり、SNSで公開したりすることは自重すべきではないか。
- 日本語だからわからないだろうというのは、避けるべき。
このように思います。
実はシンガポールの総選挙もそろそろではないか、と言われています。
選挙前になると、真偽定かでない色々な噂話が流れます。
この時期にこの法律が施行されるというのも、そういう点も考慮にあるのかも知れません。
今後この法律によって、実際に検挙される事例が出てくるのか?など、注意深く見ていきたいと思います。
フェイクニュース防止法詳細
https://sso.agc.gov.sg/Acts-Supp/18-2019/Published/20190625?DocDate=20190625