【三浦コラム】シンガポールの永住権の省察

 今回はシンガポールの永住権取得についてお話しましょう。

 駐在で来られている方はあまり永住権取得については、なじみがないかもしれません。
 反面、自ら事業を起こした人や現地採用として働いている方はこの永住権取得は身近な話題でしょう。

 取得することで、目に見えるメリットとしては、
・CPF制度に加入することができる。
・HDBフラットを購入することができる。
・ゴルフ場の会員権の買い取りがシンガポール人と同価格
・転職する場合に、無職期間において国内滞在期間(滞在ビザ切れ)に気を使わなくてよい。
などが考えられます。

 muiramay10メリットの中で、形に現れないものが「信用」です。
 特に自分で事業をされている人は、現地の人から見る信頼度が増すという効果もあることを記しておきたいと思います。
 実際スタッフを雇用する場合も、事業主が永住権保持者であるかどうかを、訊ねられる場合もあると聞いています。雇用される方としても、ここに根をおろして事業をやる人なのかどうかを判断する一材料となっているのでしょう。
 これは仕事だけでなく、プライベートにおいても地元の人との交わりの中でプラスに作用していると、長くこの国に住んでいる私自身は感じております。

 永住権を取得する点で、皆さんが悩む点は、お子さんのNS(ナショナル・サービス)への2年間の参加義務です。シンガポールでも男性のみ2年間は長いのでは?という議論もありますので、将来は期間が短縮される可能性はあるかもしれません。しかし、それがなくなることはこの国の建国の歴史からは考えらないのではないかと。
 この点はじっくりと家族で話し合う必要があるのかもしれません。

 永住権取得は、その申請時期のシンガポールの経済状態などによっても同じ経歴・学歴の人でも取得が可能な場合と不可能な場合があります。その時の国の政策によるのでしょうが、その理由については開示されません。

 また、投資家スキームによる永住権申請もあることも追記しておきます。

 シンガポールはこの先も人口の高齢化やハイスキルの人材の必要性により、永住権の許可は続くでしょう。その過程において、永住権保持者へのシンガポール国民への移行を即す方針を強めていくのではないでしょうか。
 その為なのか、近年は国民と永住権保持者との差(教育費、医療費など)を策定しつつあります。