【三浦コラム】シンガポールの新型肺炎の現状とワクチン接種について

日本入国に際し、1月31日午前0時からシンガポールも検疫の強化の対象となる国に加えられました。

国内で変異ウイルスの感染者が確認された国・地域からの入国者を対象とする日本における水際対策強化に関する新たな措置
https://www.mhlw.go.jp/content/000729027.pdf (PDF)

このことにより、シンガポールも新型肺炎が猛威を振るっているのではないか?と勘繰られる方もいらっしゃると思います。

しかしながら、実際は落ち着いたもので、シンガポールでは新規の”市内感染者なし”の報告が数日間続いております。

外出には全員がマスクを装着しなければならず(幼児は除く)、ショッピングモールなどの出入りには登録と検温が欠かせません。

ただ、人々はこのルールにも生活の一部として慣れ、普通に外を行きかうようになっています。

勿論のこと、依然としてエンターテインメント系のお店などは開店再開が許されず(少人数ながら1週間ほど前に、数日にかけて新規市内感染者が出たため、予定されていたパイロットランも延期)、また海外旅行も難しい今、シンガポールに住む多くの人たちは、ホテルでのステイケーション(宿泊して寛ぐスタイルのホテル滞在)やレストランでお金を使うケースが増えています。
特に人気レストランでは、数ヶ月先までの予約が取れないほどの盛況なお店もあるようです。

ショッピングモールの出入りには、登録と検温が欠かせない。

現在旧正月に向けて、街は赤い色が溢れ、否が応でもお正月気分を盛り上げてくれます。
そういう中、「やはり今年は例年と違う」と感じさせるのは、1月26日からは1日の家庭への訪問者数制限(8人)・訪れてよい家制限(2家庭まで)、シンガポールの恒例行事=イューシェン(魚生)と言われるお祝い料理をレストランで食べる時(食べる前に箸で上に投げ上げ、幸運を祈る時)に、マスク着用の上で声を出さないことなどが義務付けられました。

シンガポール政府は、多くの人たちが一族の交流をするこの時期に、クラスター発生をさせないように用心深く先手をうった形です。

シンガポール保健省のウェブサイトより

Tightening Safe Management Measures
3. To further mitigate the risk of large community clusters arising from infections that spread within a household and through them to all their contacts, we will impose a cap of 8 distinct visitors per household per day. This will take effect from 26 January 2021. Individuals should also limit themselves to visiting at most two other households a day, as much as possible.
6. This also means that face masks must be worn during the tossing of yusheng, and that the lohei should be done without any verbalisation of the usual auspicious phrases. F&B establishments and enterprises serving lohei must ensure that both the staff and patrons comply with these requirements.

Vaccinating Our Seniors
19. From 27 January 2021, we will commence vaccination for seniors, starting with pilots in Ang Mo Kio and Tanjong Pagar, where larger numbers of our seniors reside. The aim of these pilots is to enable us to iron out all the operational processes before scaling up nationwide. Vaccinations will be progressively extended to seniors across the island from mid-February 2021.
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/tightening-safe-management-measures-and-update-on-vaccination-plans

 

現在ワクチン接種がシンガポールでは大きな話題となっていますが、既にエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちのワクチン接種が始まっています。加えて、1月27日に2つの地区で70歳以上の人たちに限り、一般人への初めてのワクチン接種がありました。順次地区ごとにワクチン接種を行う予定となっています。

勿論のこと、ワクチンの効果がどの程度であるかは問題ではありますが、シンガポールに住む人たち(シンガポール政府は外国人を含む全員に無料で接種を提供)のワクチン接種が進むにつれて、規制緩和があるのではないか?という期待が広がります。
シンガポールのワクチン接種は、受ける受けないは強制でなく個々人の意思によるものですが、見送った場合の次の機会が明らかにされていないところが、「副作用を考えてちょっと様子見をしたい」という方には悩ましいところだと思います。

しかしながら、大きな流れを見てみると、シンガポールに住み支障のない生活をおくるには「接種をしない」という選択は、なかなか考え難いのではないか?と思えます。

シンガポールの一見新型コロナウイルス前に戻ったかと錯覚するような一息ついた感じは、脆い小康状態の上にあるのかも知れません。

ワクチン接種に効果が見られ、早くすべてが終息することを願ってやみません。