【三浦コラム】シンガポールにおける交際費の取り扱いと注意点

 顧客とのお付き合いの中で、営業活動を陰ながら支える費用のひとつが交際費です。
 シンガポールの交際費の扱いはどの様になっているのでしょうか?

 交際費として、考えられるものは主に顧客との飲食とゴルフプレー代金でしょう。この国の交際費としての経理処理は日本と比べて幅広く損金処理が可能です。使用された金銭に対する何らかの証票を得る事で、交際費として引き当て出来得ます。
 もちろん、常識的な範囲での利用という事は書くまでもありません。
 
miurajan11 常識的な範囲、この点は感覚的なものでは間違いのもとになります。具体的なルール決めがなされていない会社や新規に立ち上げた会社にとっては、この交際費の社内ルール(会社の常識)を定める事が必要です。
 海外で働く日本人は、色々な会社組織やポジションによる差はありますが、自分が決裁権を持っている方が多いでしょう。
 自分への甘えからでしょうか、顧客や顧客になる可能性がある方々と使うべき会社のお金を自分の家族への遊興費として使っているというシーンと時として見る事があります(家族を含めた社員同士で使用する、会社組織で認められている範囲での福利厚生費は別途損金処理の対象となり得ます)。誰から何も言われなくとも、その事がエスカレートし会社の評判を落としかねない場合もないとは言い切れません。自然とそういう噂は漏れ伝わってくるものです。
 小さな事から不正行為は広がっていきます。一事が万事、この事は留意しておきたいところです。

 さて、経理上の実務を付記しておきますと、会社の経理には1=会計上と2=税務上の計算方法があります。1年の〆をした後、監査を受けた数字が会計上のものとなり、それを元に税務項目で再処理したものが税務上のものとなります。
 日本と異なり、シンガポールの会計オフィスには、税務処理を担当する部門があるのが通常です。
 交際費なども監査や税務処理をする中で質問を受けることもあるでしょう。
 先に記載しました社内ルールの中に、誰と何人でどの様な目的で該当交際費を使用した旨のメモを付けて、ファイリングをするなどの一工夫をすると監査オフィスや会計オフィスからの質問にも答える事が容易となることでしょう。

 交際費は基本レシートが必要ですが、チップなどで金額に該当するレシートがない場合には、社内で決められた定式の書類に明記し、所属長などのサインを得る事でそのお金を立て替えた営業マンへの支払いとする事も可能です。
 どういう方法がベストなのかは、ご利用の会計オフィスの担当者にご確認をされる事をお勧め申し上げます。

 交際費を有効に利用する事で、顧客との円滑な関係が保持される事も多い海外での業務。
 さて、皆様の会社ではどの様なルールでもって使用されていらっしゃいますでしょうか?