【三浦コラム】シンガポール人の組織(会社)と社員について
海外で働く事もそう珍しくなくなってきた日本人ですが、実際働いてみると戸惑う事も多いと思います。
その中のひとつが、、その国の人の組織(会社)に対する考え方です。特に日本が経済的に成長モードにあった時代に、社会人になった年齢の日本人には特にその傾向が強いかもしれません。かえって、バブル崩壊後に社会人となった若い方々(日本人)の組織(会社)に対する考え方はシンガポール人に近いところがあるかもしれません。
では、シンガポール社会における一般的な考え方はどの様なものなのか、改めてこの点を考えてみましょう。
要点をあげますと、
・組織(会社)に対する帰属意識が低い。
・独立志向が高い。
・そして、社会もそれを受け入れている。
と言う事ではないでしょうか。
日本人はジョブホッピングとして、複数の度重なる転職を否定的にとらえますが、シンガポールではキャリアUpの方法として肯定的に考えているようです。
その点が日本人の視点と大きく異なる点です。
雇用する方としての日本人は、転職する社員を一種の裏切り行為的に考える事もあるようですが、これは考えの違いとして認めざるおえないでしょう。
彼らからすると、組織(会社)は自分の面倒を見てくれるわけではないという明確な意思があります。日本での企業の様に、まとまった金額としての退職金というものもありません(会社の規定としてある程度の金額を設定している会社はありますが、CPFがその退職金的意味をになっているとも言えます)。
シンガポールの労働市場では、働く方としては、何かの専門を持たなければ、また明確な数字をあげていかねば、長年同じ会社に勤めるだけでは簡単に給与は上がりません。給与があがった事=自分が認められた事ととらえます。
よって、その昇給した給与とポジションは、転職先へのアピール手段となる事も否めません(この点が日本人が裏切られたと感じる点かもしれません)。
ある面実力主義である社会、その事も労働者の流動性を高めているのかもしれません。その中で、いずれ独立してと考えている人も少なくはありません(それが別の業界であれ)。
さて、雇用主として、気を付ける事は何でしょうか。
雇用契約書にあるジョブ・ディスクリプションに入っているもの以外の業務です。
人間同士ですので、信頼関係の中で、それは何かを頼む事はあるでしょう。ただ特に注意すべきは、日本人では気軽に新入社員にお願する様な、掃除や給仕、運転手がやるべき仕事を気軽に求める事です。
厳格に仕事は区別されています。こういう点で、日本の平等意識は通用しない事がありますので、ご注意ください。
これは善悪とは別の規程です。特に大卒の人への対応は気が付かない事で、顔をつぶす事もあるようです。
オフィスでは、社員の上下は、年齢の上下や社歴での長短ではない事は気を付ける点です。
補足となりますが、シンガポールはオフィスにおける男女による職業差別はほぼありません。
女性も男性同等、場合によってはそれ以上の貴重な会社の戦力です。これは安価な外国人労働力がメイドとして、庶民も含めた家事労働をになっている事が大きいでしょう。
加えて、女性には有給のマタニティリーブが4ヶ月あります(2,004年からそれまでの2ヶ月が3ヶ月に、2008年からは4ヶ月に変更)。
男性にはオフィサークラスで50歳、通常は40歳くらいまで年に2週間程(部署によってはこれより長い場合もあり)のナショナルサービス(徴兵)が義務付けられています。
社員がオフィスを長期離れる時期を上手く乗り切る工夫も必要かもしれません。
今回はちょっと取りとめなく、シンガポールの組織(会社)と社員の関係がどの様なものであるか、ご説明しました。これからシンガポールで働く人などの参考になれば幸いです