【三浦コラム】決算利益と税務上利益が違うという事について

 会社のお金の流れは人間の体では血液の流れに例えられます。これは会社運営において、お金の流れ(決算の数字)を読む事は、経営者にとっては欠かせない仕事のひとつである事に他なりません。 日本では一営業員として働いていた方で、シンガポールに来られてから、初めて経理関係の数字に目を通す事になった方も多いと思えます。

 今回は簡単な省察ではありますが、会社の成績である決算上利益と法人税を払うべき元となる税務上利益の違いについて触れてみようと思います。

 日本では会社の決算の会計処理が国内税法に合わせた内容になっています為に、その決算上(会計上)の利益などに比べ、シンガポールでの決算上と税務申告上の利益の数字との違いに驚く事があるかもしれません。

 これはどういう事でしょうか?   実は今日本で話題になっているIFRS(INTERNATIONAL  FINANCIAL REPORTING STANDARDS)と言われる国際会計基準があります。 ここシンガポールではこの国際会計基準は、かなり以前から採用されています。しかしながら、日本では2010年3月期から任意に上場企業で適用開始、強制適用の判断の時期が2012年とされていましたが、実際導入は2015年か2016年からにずれこむと見られ、上場企業に一斉に導入するかどうかは未定の状況であり、シンガポールに比べると日本はIFRSへの対応が大分遅れていると言えそうです。

 どちらが国内の税法にとらわれない国際基準で会社の決算を行っているかは明確です。

 決算上の会計処理が国内税法に影響を受けない、ここシンガポールで、会社の経営者として、気を付ける事は何でしょうか? それは、会社の決算上の利益(会計上の利益)が税務上の利益と異なると言う事です。

 簡単な例を取ってご説明いたしますと、前にも述べた事がありますが、車の経費扱いについてが、その代表的なものです。 シンガポールではひじょうに金銭的負担を強いる車の保持ですが、これは会社の決算上は経費に加える事は問題ありません。しかしながら、シンガポールの税務申告計算上は車に関わる経費に一切経費に計上できません。税務上、経費と認められないと言う事は、その金額が全て損金否認されてしまうので、結果利益が増えてしまうことになります。

 会社には、決算上=会計上の利益と税務上の利益があり、その数値にかなり開きのあることを頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。

 経理上疑問に思われる事を目にした場合、自らの会社が契約している会計事務所に、その理由を確認べきだと思われます。