【三浦コラム】シンガポールのインフラの強みとは?

 4月、新たにシンガポールに来られた方も多いと思います。第一印象は小さな国だな、と思われたのではないでしょうか?
 その様な国土の狭い国、シンガポールのインフラ、何が強みなのか?について考えてみます。

 移動手段については、公共交通機関である 鉄道、バス、タクシー、それと自家用車などが考えられます。
 MRT(Mass Rapid Transit)という一部地下鉄を兼ねる鉄道網は、現在は4ライン、そして急ピッチで新ラインの工事が続いています。昨年5月の選挙では、混み具合が政府批判の要因のひとつになりました。しかしながら、東京の鉄道網の混み具合と比べると、まだまだ余裕がある状態でもあり、新ラインが完成すると、ますます移動の利便性が高まると思えます。
 バスはシンガポール国内を網羅しており、外国人でも安心して乗る事が出来ます。ただし、便利ではあるものの、雨が降った時などの渋滞時には、やはり鉄道の利便さの方が秀でているのは言うまでもありません。
 近年、値上がりがあったタクシーも以前ほど割安感は感じないかもしれませんが、まだ庶民の足のひとつと言えるでしょう。仕事の移動でタクシーを利用する方も多いと思います。
 こういった公共交通機関はシンガポールの治安の良さも相まって効率的な移動手段として考えられます。
 その反面、政府が規制をかける車の価格は、その所有権(COE The Certificate of Entitlement )も合わせると、ひじょうに高価であり、外国人でも車を所有していない人も多くいます。

 空の玄関である効率的なチャンギ空港(新たなターミナルの建設も予定中)とアクセスの良いコンパクトな都市機能が強い武器となり、数多くの展示会や国際会議が行われるのも、シンガポールの特徴です。
 それに伴う、マイナス点も当然出てきています。それは値上がりしたホテルの価格とタイトな予約状況です。特に大きなイベント時には、ホテルの価格が高いだけでなく、予約自体が取れない事もあります。シンガポールで気をつけたい事のひとつです。

 シンガポールはその位置を活かした物流の一大拠点でもあります。コンテナー取扱量も、上海に抜かれるまでは世界1の取扱量を誇っていました(現在は2位)。引き続き、地の利を活かした物流拠点の位置づけは、通関システム等の簡素化と合わせて、ゆるぎありません。
 実際見る事のできる巨大な港湾施設には驚きを隠しきれません。

 しかしながら、この国の本当の大きな強みは、英語が通じる人的資源と汚職が許されないシステムといったソフト面ではないでしょうか?
 英語が公用語のひとつで、全ての書類は英語で済ます事が出来ます。勿論の事、シンガポール人が英語教育を受けてきている事は無視できない事実です。
 加えて、汚職追放への政府の厳しい姿勢は、ビジネスの場でも大いに有効です。
 私にはシンガポールのインフラの強みは、ハードにあるのではなく、本当はこの様なソフト面にあるのではと思えてなりません。

 皆さんはシンガポールで暮らされて、仕事をされて、どう思われますでしょうか。