【三浦コラム】これからのシンガポールは内向きになるのか(外国人労働者政策より)?

 シンガポールの全人口に対する外国人の人口は日本人からすると驚くほどの%を占めます。2011年の政府資料によりますと、全人口518万人のうち、国民は326万人、PR(永住権保持者)は53万人です。残りが労働ビザを持つ外国人とその家族と考えると、それは37%もの人口を外国人という事になります。
 これはまさしくシンガポールは外国人労働者を無視できない社会であると言えます。
それはオフィスでも外国人がいる会社は多いですし、工事現場などは外国人が現場を支えている事を見ても一目瞭然ではないでしょうか。

 そういう社会であるシンガポールですが、最近の傾向として、外国人労働者のビザが厳格化されてきているのは皆さんもニュース等で知るところと思います。
 具体的には、各ビザの月給最低金額の引き上げ、人数枠制限の%引き下げ、LevyFeeも段階的な上昇などがあげられます。加えて、先日は扶養家族のビザ発行のレベルが引き上げられるとの発表がありました(12年9月1日施行)。

 シンガポールの対外国人労働者問題は排他的になってきたのでしょうか?
 シンガポールの社会は内向きになったのでしょうか?

 長くシンガポールにお住まいの方はご存じだとは思うのですが、シンガポールの政策は大きく反対に舵を切る事が時々あります。
 私にはやはり去年の5月の総選挙結果が、政府の外国人労働者政策に、大きな影響を与えたのではないかと思っています。次の選挙までにある一定の成果を踏まえた上で、選挙後に与党が一定の支持を取り付け、再度政策の仕切り直しがあるかもしれません。何故ならば、政府も常々国民に語りかけている様に、シンガポールではオープンな外国人政策は変えようがないのは、この国に住んで仕事をすると明確にわかるものです。

 ここで日本人である私達が頭の片隅に置いておかねばならない事は、シンガポールの外国人労働者政策はスキルがある人と低賃金労働を担う人(メイドや工事現場で働く人など)と大きく2つにわかれる事です。
 日本人は前者に振り分けられます。そういう振り分けの中で、日本人がシンガポールで働く時に気を付けるべきは、学歴と職歴に伴う給与額と言う事になるでしょう。外国人労働者の話になると良く言われる「ハイ・スキルを持つ外国人はWelcome」、まさにこれがポイントになるのは間違いないと思えます。

 シンガポールの外国人労働者政策が、完全なる内向きになる事はないにしろ、最近矢継ぎ早に出される条件の厳格化、一時的なものにしろ、これまでの前例が参考にならない事もありうると考えた方が無難の様です。