【三浦コラム】2012年8月ナショナル・ディ・ラリーを聞いて
先日、皆様にお知らせいたしました様に、8月26日に首相が国民に国の方針を広く知らせるNDR(ナショナル・ディ・ラリー)が開催されました。通常は首相1人がスピーチをするのですが、今回は若手政治家にも補助的なスピーチを任せたあたりも新しい試みでした。
今回は企業活動に触れる項目は影をひそめ、国民の福利厚生に関しての話が主たるものでした。これにはやはり昨年5月の選挙結果を踏まえて、国民が国の発展から置いていかれているのではないか?との疑念を払拭する意味があったのだろうと思います。
大筋は国民の出生率をあげる為の補助政策(父親の出産休暇の設定)、高等教育(5番目・6番目の大学)・幼児教育の充実、公共交通機関であるMRTの整備(新ライン)など。加えて、シンガポール人に寛容になろうとの呼びかけがなされました。税制面では、先20年を考えると、増税を行わざるを得ない旨の宣言もありました。
皆さんはどの様に首相のスピーチを聞かれたでしょうか?
私が感じたのは出生率の低下をひじょうに気にしている事を感じました。
現在27%の大学進学率を40%に引き上げる政策だけでなく、幼児教育に関しても力を入れていくとの事。
また、16週間の出産休暇が女性に法的に認められているものの、会社でのポジションを気にするキャリア志向の女性にとっては、その事がけっして出産に結びつかないケースもあり得る為、父親への出産休暇についても触れられました(現在は男性の出産休暇は法律では定められておらず、各企業により配慮されている段階です)。
*この事は、出産休暇後に職場復帰した女性が、別の理由により解雇されたとの少し前にあった新聞への投書により、国民の注目の話題にもなりました。
多くの政策がシンガポール人の子育てに憂いを少なくすべきものの様に思えます。
反面、高齢化が進むシンガポールの福祉にかける費用増加を考えると20年以内の増税も現実味を見せてくるのかも知れません。
未来に見据えた政策を堂々と国民に呼びかける国のリーダーを目のあたりにしますと、はたして私達の母国・日本はと考えてしまいます。
よく規則が多いとされるシンガポール社会を揶揄する日本人がいますが、民主主義とは何か?政治家は誰に責を負うのか?私達日本人は自ら選んだ日本の政治家を前に、その事を深く考える時期にきているのかも知れません。
リーシェンロン首相のスピーチは下記からも動画で見る事が出来ます。他にも、若い独身者がHDBからの直接に新築フラット購入の可能性にも触れられたりと上記に書いていない内容もあります。
ご興味のある方は、ぜひお聞きください。
http://www.pmo.gov.sg/content/pmosite/home.html
*上記ホームページの右側NATIONAL DAY RALLY 2012というところをクリックしてください。動画が始まります。