【三浦コラム】シンガポールにおける低賃金外国人労働者問題について
2012年は11月に中国人運転手がストライキを行い、逮捕者・強制送還者も出し、大きくシンガポールの世論を沸きたてました。その後、小さい規模ながらもストライキ的な行動が外国人労働者によってなされ、今までとは異なるシンガポールの一面を見た様な気がします。
実は昨年の7月も下記の題で外国人労働者について書きましたが(*)、改めて今回もこの件について触れてみたいと思います。
(*)これからのシンガポールは内向きになるのか(外国人労働者政策より)?
シンガポールの人口の30%弱が永住権保持者を除く外国人です(2012年時点で531万人中シンガポール人329万人、永住権保持者53万人)。その外国人の中で、2012年6月時点EPとS-Passを除く、Work Permitと言われる低賃金での外国人労働力が93万人存在します。これは総外国人の75%を占める割合となっています。この93万人が一般に低賃金で働く外国人労働者と考えられます。
シンガポールでは低賃金の外国人労働者の存在が社会基盤維持のためには必要である事は否めません。しかしながら、周辺国の賃金上昇は安価な外国人労働力の供給が無くなると言う事も意味しています。その為か、できるだけ外国人労働者に頼らずとも自分達で何とかできるところはしようとの呼びかけが、国民の生産性の向上という言葉で言い続けられています。
既に外国人の雇用を控えている政府系企業もあると聞きます。
建築・港湾・飲食関係では深刻な人不足に陥っているところもあるそうです。
また、インドネシアでの賃上げにより、共働きには必要不可欠なメイドが不足するのでは?とも言われています(シンガポールに出稼ぎに来ずとも、インドネシアでの収入が上がる為)。
これには2011年5月の総選挙でよく聞かれたシンガポール人優先という意味合いもあろうかと思います。以前にも書きましたが、やはりその選挙結果が現在の政策にも深く影響を及ぼしているのではないでしょうか(1月26日には与党議員のスキャンダルに伴う辞任により、1選挙区で補選が行われます)。
外国人労働者政策については、先2・3年では変更せずに、10年くらいはこのままのつもりで考えてもらいたいと副首相が(2月25日のバジェットで何かこれについて何かしらの発表がある事をほのめかせ)、この事に触れました。
何か真新しい事が発表された場合には、またここで取り上げたいと考えております。
そういう人手不足な中、私達を含み外国人が海外で住んで働くには、それに該当するビザが本人・スタッフに必要だと言う事、これはけっしておろそかに考えるものではないのは書くまでもありません。