【三浦コラム】2013年度シンガポール予算について、その影響を考える

 2月25日にシンガポールの2013年度の予算が発表になりました。 それに伴い、シンガポール人から反発を受けた人口白書に関わる政府側の回答とも言えるべき政策も公表されました。 今回の政策は多くが内向きのものであり、ここ最近のシンガポール人優先という方針を濃く反映した内容でした。

諸々ある中で、シンガポールに住む日本人経営者の1人として、今回取り上げたい内容は2つ。
・Sパスの新たなる制限
・Wage Credit Schemeという賃金底上げを政府が後押しする政策

Sパスは、2013年7月1日からの申請から
・最低給与の引上げ
現行の2,000ドルから2,200ドルからの月給が求められます。
また、今までは課せられていなかった年齢経験による月給の加算が必要となる予定です。
これにより、Sパス保持者は若年層になるのでは?と考えられます。
・Sパス枠の縮小
Service Sectorにおいては、現行の全社員の20%の枠が、新規申請の場合には15%へと引き下げられます(現保持者や再申請者などは2015年7月1日から)

 昨年Employment Pass(その中でもQ1レベル)を取っていたレベルの人が多くSパスへ変更になった、また最初からSパスでビザを取ったとの話を聞きます。実際、2011年12月113,900人から2012年12月142,400人へ増加しました。
 こういう事も、外国人の総数を抑える中、Sパスの総外国人に占める割合は9%程と低いものの、目立つ増加が懸案事項とされていたのも事実です。
 新聞の記事によると新ルールになると現行のSパスの保持者の半数がそのビザ資格を失うとの予測も出ているそうです。
 これらはSパスの社員を抱える経営者のみならず、Sパスで働く日本人社員も注目する内容だと思えます。 特に飲食店の経営者などは、総外国人比率も45%から40%にされる中、思案のしどころかも知れません。

miura13mar もうひとつの賃金底上げの政策、Wage Credit Schemeは3年間に渡り、政府がシンガポール人(月給4,000ドルまでの人)の昇給分の40%の費用を負担するというものです。
 では、4年後はどうなるのか?この政策が社員の昇給傾向を後押しするのではないか?など総合して考えると、これらはシンガポール国内の工場経営に関して、無視できない影響を与える事になるのでは?と・・・・・・。
 既にシンガポールは東南アジアでは異例の物価高となっている中、また、シンガポール国内のインフレ傾向を加速させるのではないかとも思えます。

 シンガポールでの外国人である我々の事業開始と継続には、向かい風です。その中で何をどうやっていくのか、経営者の舵取りの力量がますます求められる国となっていく様です。