【三浦コラム】マレーシア総選挙後を考える(シンガポールへとの関係において)

 今月5日はマレーシアで総選挙が行われました。結果は苦戦が伝えられていた与党が予想に反し、思った以上の差をつけての勝利に終わりました。
 
 全国会議員222名、与党133名(60%)、野党89名(40%)【前回2008年、140名(63%)、82名(37%)】
 この結果には、シンガポール政府の皆さんも胸をなでおろしたのではないでしょうか?
 
 シンガポールはマレーシアと様々な軋轢を繰り返し、決して仲が良い関係であるとは言えませんでした。マレー鉄道のシンガポール国内の土地所有の問題、水の問題、国境の問題、事あるごとに互いへの批難も繰り返してきました。
 しかしながら、マハティール元首相が政権を降りて以降、そのぎすぎす感も減って来て、現ナジブ首相となった後は、過去の諸問題が信じられないくらいの友好的な関係を構築しています。
miuramay13 マレー鉄道土地問題が解決した事、JBのイスカンダル開発にシンガポールが深く関与する様になった事、そして高速鉄道建設の発表など、その協力体制は一時期の両国関係を目のあたりに見ている1人としては信じられないくらいです。
 この親密な関係はシンガポールとって、大切なものだと思えます。
 
 日本から注目されているマレーシアとインドネシアを比べると、マレーシアはより宗教的な色合いが濃い国だと思えます。野党が勝利した場合には、より外国人の経済活動にも規制が強化されるのではという憶測もながれていました。
 与党が勝利するという選挙結果により、経済活動に大きな影響はないと思われ、マレーシアに住み仕事をしている知人(日本人)からも、取り敢えず安心したとの連絡が入りました。
 
 ただ、マレーシアもシンガポールの様に、昔の様な与党の圧倒的な強さは影を潜め、華人系の人口比低下の中、(マレー人優遇の)ブミプトラ政策が今後どうなるのか?など興味深いところです。シンガポールに住む外国人の1人として、隣国マレーシアとシンガポールの関係に注目していきたいと考えます。
 
 選挙への不正があったとの批判など、与党批判集会などがマレーシア、そしてシンガポールでも行われました。ご存じの様に、シンガポールは政治的なデモは違法となります。治安部門からの警告後、シンガポールでは現在マレーシア人複数のビザの取り消しが検討されているそうです。
 マレーシアでは勿論の事、しばらく注意が必要ですが、シンガポールでも外国人である私達がその手の集会などに興味本位で近づくのは控えましょう。