【三浦コラム】来年8月から始まる雇用ルールの影響について

 先日(9月23日)にMOM(人材省)から出された新ルール、FCF(the Fair Consideration Framework)が来年8月1日から施行されます。外国人雇用が大きく制限されるのではないかとの憶測から、一部の日本人の方々に過剰とも思える反応がある様ですが、実際どの様な影響が考えられるのでしょうか?

 まず大前提となる外国人を採用する場合、その場合でもEP(Employment Pass 就労ビザ)になる可能性がある求人は、雇用主である企業は政府機関WDA(Singapore Workforce Development Agency)による人材バンクに14日間求人票を出さなければなりません。

 上記14日間を経た求人票は定められたルールに基づく表記により、外国人にもオープンになります。

コラム13年10月 雇用主はその業務を満たす人材を、シンガポール人・外国人の応募者の中から選びます。
 その人材が外国人の場合は、人材バンク掲載時に取得したID(人材バンクに掲載した証明になる)と共に、EP(Employment Pass 就労ビザ)を申請することになります。
 その際この人材バンクの掲載証明となるIDの記載が無いEP申請はできなくなります。

 ただし、14日の登録義務は、社員25人以下の規模の会社、月給12,000ドル以上の社員は除外となります。EPでないビザ(日本人も持つ就労ビザSパス)は、この新ルールの対象外です。

 プレス・リリースにも書かれてあるシンガポール人にも機会を与えるというこの措置ですが、はたしてこれでシンガポール人の雇用が増えるかは疑問です。
 やはり、先の総選挙の結果、シンガポール人第一主義に舵をきった政府の国民に対するアピールのひとつではないかとも思えます。
 また、シンガポールで25人の社員数を持つ日系企業がどれだけあるでしょうか?工場があればともかく、かなりの数の企業が25人以下だと思われます。特にシンガポールで事業を始める企業もその中に含まれるでしょう。

 問題として考えられるのは、対象となる企業において、不都合は、迅速な外国人雇用ができない、求人の作業が煩雑になるなどの影響は考えられます。

 ここで、それ以上に注意する点は、求人票の記載方法(国籍や宗教、年齢、性別を指定する求人は不可)です。
 10社が求人票の記載方法により、6か月間の新しい外国人雇用が停止されました(詳細はMOMのウェブサイトこちらをご参考下さい)。

 8月1日までに、追加や付記項目など出ないか、MOM等の発表を注視する必要があるでしょう。