【三浦コラム】シンガポールの2014年バジェット(予算)について
2月21日にシンガポールの2014年のバジェット(予算)が発表されました。
発表されたのは多項目になりますが、その中でも注目したいのは、複数の手段で高齢者への補助が増す事と建築業界のLevy Feeの更なる引き上げ発表です。
高齢者への補助の中のひとつとも言えるのが、CPFの更なる加算であり、その主たるものは医療口座への加算となります(2015年1月から変更)。
(注)CPF(Central Provident Fund)については、過去のコラムこちらも合わせてご参考下さい。
会社員のCPF上昇分 下記の%は給与額に関わる%
50歳まで 雇用主負担1%Up 企業負担は17%に
51歳から55歳まで 雇用主負担2%Up、労働者負担0.5%Up 企業負担は16%へ
56歳から60歳まで 雇用主負担1.5%Up 企業負担は12%へ
61歳から65歳まで 雇用主負担1.5%Up 企業負担は8.5%へ
66歳以上 雇用主負担1%Up 企業負担は7.5%へ
上がった分の1%が医療口座に入ります。
(注)1年間は雇用主に一定額の補助があります。
合わせてもうひとつ気になるのが、建築業界ノンスキル外国人労働者のLevy Fee(外国人ワーカー雇用にかかる税金 金額は1人あたり月額)の値上げ。2016年7月から700ドルへ(既に2014年7月から550ドル、翌年7月から600ドル)、これが更に翌年から100ドル値上げされるというものが新たに発表されました。
低賃金できつい仕事はシンガポール人は厭う傾向にあり、それを担っていたのが外国人ワーカーでした。では誰がこれを代わりにするか?という問題が残ります。
今回も強調された生産性の向上によって、ノンスキル外国人労働者がどれだけ減らせるものなのか・・・・・・。
今迄のシンガポールは軽い福祉と安価な外国人労働者が経済の発展を底支えすると面もあった事は誰も否定できるものではありません。
ただ、雇用主が安価な労働力が使えなくなるという事は、単純にそれが市場価格に跳ね返ってくるという事でもあるでしょう。また、既に現状でもインフラのプロジェクトの中にはスケジュールが遅れがちになっているものもあると聞きます。
これらの方策がどう物価に、生活に、経済活動に影響を与えるかは、時間をかけて見ていくことが肝心です。
最後にお酒やたばこをたしなむ人に影響がある、酒税・たばこ税も値上がりしました。
政府が強調するのは、収入のミドルクラス・ロークラスへのサポート。そして、弱者の救済です。医療費補助を中心としたかなりの福祉政策が実施されることになります。
より国民生活に必要な福祉に目を向けた政策を行うその為には、(以前政府高官も公言しました様に)色々な点で税の負担が増える事は間違いなさそうです。