【三浦コラム】ビジネスで住居を使用する際の注意点

 シンガポールで新たにビジネスを立ち上げる方から、「契約しているコンドミニアムをオフィスとして使用したいのだが」というご相談を時々お受けします。その中には、「ご住居として賃貸契約している自宅で教室を運営している人もいるそうなのだが、だったらオフィスとして使用しても問題ないのでは?」とのお問合せを受けた事もあります。
 オフィスの賃貸料金が高いシンガポールです。会社立ち上げ時のコストを抑えたいという方も多い事でしょう。
 今回はご住居をオフィス目的で使用可能なのか?本当に教室で使用する事は認められているのか?という話題を取り上げたいと思います。

 自宅でのオフィス利用目的を明確にし、確認する大事な項目は3つです。
(1)-賃貸契約上の可否(もしオフィスとして利用する自宅が賃貸の場合)
(2)-各コンドミニアム等の個別ルールにおける可否
(3)-シンガポールの法律上の可否

 まず、ご住居はご自身が所有する不動産でしょうか?
 賃貸物件の場合には、不動産所有者(不動産オーナー)との契約に留意する必要があります。住居としての契約の場合(オフィス目的の利用を確認していない場合)、契約不履行を理由にして退去を求められる事もあるでしょう。入居時に交わした契約書の中に、入居人の守るべき内容が明記されています。契約時にこういう理由で自宅の一部をオフィス利用する事を認めさせる契約を結ぶ必要があるでしょう。
 配偶者の社宅扱いの住居である場合(賃料の支払いを配偶者の会社が補助している場合)には、配偶者の会社への使用確認も欠かせないでしょう。・・・・・・(1)

 また、各コンドミニアムのレギュレーションに従って、どういう目的での使用が可能なのかもあらかじめ確認をしましょう。使用目的に則さないルールがコンドミニアムやアパート等にあれば、オーナーとの契約がどうであれ、オフィス利用はできないでしょう。・・・・・・(2)

miurajul14 加えてもうひとつ確認しておかねばならないのが、URA(Urban Redevelopment Authority)の不動産の使用目的に則しているかです。
URAのウェブサイト内には、ガイドラインが明記されています。
http://www.ura.gov.sg/uol/home-office.aspx

 自宅のオフィス利用に関しては、その届け出をしなくてはなりません。
Home Office Scheme
http://www.ura.gov.sg/uol/home-office.aspx?p1=guidelines&p2=guidelines-for-home-office-scheme

 ただし、例えば、何かしらの教室を自宅で行う場合には、
・同時に生徒は3人以下
・ご近所に迷惑をかけない、苦情が出ない様にする
・従業員を雇用しない
 これらの3つを満たしておけば、下記のHome Based Small Businessに振り分けられる可能性があり、この場合には教室の運営も認められています。
Home Based Small Business
http://www.ura.gov.sg/uol/home-office.aspx?p1=guidelines&p2=home-based-small-businesses

 詳細はこちらに明記されています。合わせてご参考下さい。
@諸条件
http://www.ura.gov.sg/uol/home-office/guidelines/home-based-small-businesses/setting-up-a-small-business-at-home.aspx
@ビジネス例
http://www.ura.gov.sg/uol/home-office/guidelines/home-based-small-businesses/examples-of-home-based-activities-that-can-be-allowed-in-private-and-HDB-residential-premises.aspx

 ご自身のビジネスがルールに則しているかは、URAにオフィスの使用目的などの詳細を付記して、確認をしておきましょう。確認は文面で回答を得ておく事をお勧めいたします。
確認の順は
Home Based Small Businessに当てはまる内容か否か?
当てはまらない場合、
Home Office Schemeを申請できる内容か否か?
・・・・・・(3)

 最後になりますが、PRの方以外は、労働許可をお持ちでないのは、勿論の事厳禁です。不法労働とみなされた場合には、国外退去のみでは終わらない可能性もあります。
 ビジネス目的で自宅を利用する事が可能であるという事と、必要な労働ビザを取得するという事は政府の管轄が別です。
 自宅でのビジネスが可能でも、労働ビザがないのであれば、それは不法行為です。

 くれぐれも海外に住んでいるという事実を忘れない様に、ルール違反や不法行為等は自重しましょう。