【三浦コラム】2016年シンガポールの人口統計に見る外国人労働者数から
9月に2016年6月の人口統計が政府から発表されました。
発表された数字は、総人口561万人(341万人がシンガポール人、52万人が永住権保持者、その他外国人167万人)です。シンガポールへの定住者として考えられる393万人(シンガポール人・永住権保持者)の主な人種別割合は、華人系292万人(約74%)、マレー人系53万人(約13%)、インド人系36万人(約9%)です。
*2016年の人口統計資料はこちら(http://www.singstat.gov.sg/ http://www.singstat.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/statistics/visualising_data/population-trends2016.pdf)
これを改めて見るに、この国は華人系国家であり、また外国人労働力は国家運営の一翼を担うものである事が明白です。
上記政府統計と合わせて、9月27日の地元メディアCNA(Channel News Asia)に興味深い記事が掲載されていました。それはその他の外国人に関する167万人に関わる割合です。
11%・・・・・・Employment Pass(EP) Holders 一定金額以上の給与に対して発給されるビザを持つ者
5%・・・・・・S Pass Holders 一定数のシンガポール人を雇っている企業に振り分けられている外国人雇用枠ビザを持つ者
44%・・・・・・Work Permit Holders 工事現場等で主に働くビザを持つ者
14%・・・・・・Foreign Domestic Workers メイドとして働くビザを持つ者
16%・・・・・・Dependants(DP) of Citzens/PRs/Work Pass Holders シンガポール人や永住権、そして労働ビザ保持者の扶養家族としてのビザを持つ者
4%・・・・・・Students 学生としてのビザを持つ者
*日本人が取る事のできるビザは、EP/SPass/DP/Studentsとなります。
*CNAの記事はこちち(http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/singapore-population-rises-1-3-to-5-61-million/3159702.html)
圧倒的にシンガポールのインフラを支える外国人や女性が働きに出るのを補助する役目を負う、メイドとして働く外国人が多いのがわかります(Work Permitを持つ者)。その比率が合わせて58%(約97万人)というのは全人口の17%を超える人口率です。これはこの国が低賃金で働く外国人労働者の上に成り立つ社会である事を端的に示しています。
現在日本では国内労働力不足により、外国人労働者を積極的に働ける環境を作ろうとしている動きがニュースでも報じられています。特にこれは日本人労働者が集まらない仕事に外国人を、という流れの様に見受けられます。
しかし、外国人労働力をどういう指針で国内に取り入れるのか?具体的には、定住を許すのか?などの諸々、きちっとした基準を設ける事が肝心です。日本で問題となっている研修という名をつけた、研修でも何でもない労働は許されるものでなく、低賃金であれば低賃金なりのきちんとした明確な基盤づくりが必要なのではないでしょうか?
その中でシンガポールの外国人労働者受け入れの現状は、人権擁護意識が強い人は違和感を持つとは思いますが、国家が外国人労働力を自国に招き入れる参考例のひとつとなろうかと思えます。