【三浦コラム】シンガポールの人口動向についての考察

シンガポールの人口は、約564万人(2018年6月)

2018年6月にシンガポールの現在の人口が公表されました。

シンガポール政府統計(2018年6月)

https://www.singstat.gov.sg/find-data/search-by-theme/population/population-and-population-structure/latest-data

外国人を含む全ての人口は、563.87万人であり、その内居住者とされる人口は399.43万人。
399.43万人(シンガポール人が347.19万人、永住権保持者が52.23万人)*四捨五入によるずれあり
残りが日本人も含む全ての外国人164.44万人です(全人口の約30%)。
  • 2017年と比べると、総人口は561.23万人から563.87万人と2.64万人の増加
  • 居住者は、396.58万人から399.43万人と2.85万人の増加
  • シンガポール人は343.92万人から347.19万人と3.27万人の増加
  • 永住権保持者は52.66万人から52.23万人と4300人の減少

これを見る限り、2017年と2018年の変化はさほどないように思われます。

シンガポール人/永住権保持者の平均年齢は40.8歳

また、居住者の平均年齢は40.8歳となり、去年の40.5歳から上げ幅も少しとなっています。

ここでやはり気になるのは居住者の高齢化です。

2000年には34歳であった数値が、2010年には37.4歳となり、現在は40.8歳となっています。

ちなみに日本の平均年齢は、下記の資料(世界人口レビュー)から47.3歳となっています。

http://worldpopulationreview.com/countries/median-age/

シンガポールは明らかに少子高齢化

まだ日本ほどの高齢化は進んでいないものの、確実に日本を追うように高齢化の波が押し寄せています。

社会福祉制度は日本と比べて厚いものでないものの、シンガポール政府も高齢化対策に色々と手を打ってはいるものの、なかなか有効な手がないのが実情です。

高い持ち家率のシンガポール国民 90.7%

ただ、この国の居住者(シンガポール人と永住権保持者)の持ち家率は非常に高く、2017年段階では90.7%となり、HDB(公営団地)政策が大きな福祉的要素を補っています(居住者の約80%が公営団地に住む)。

住むところが確保されているのは大きな安心感につながり、最終的には不動産(不動産価格は一時期を除いて安定的上昇)を手放し現金を得るという手もあります。

また、普通の人が投資目的で不動産を複数所持しているのも、珍しいものではありません。

日本の持ち家率(61.7%)などの情報は、下記のページ(大和ハウス)をご参照

https://www.daiwahouse.co.jp/tochikatsu/souken/scolumn/sclm211.html

一般のシンガポール人の高齢化社会に対する危惧は?

高齢化社会という点で、私が感じているのは、政府が危惧しているのは明らかながら、どうも一般のシンガポール人の自覚が薄いということです。

これはもしかしたら、未だ根強い家族主義と住居への安心感などにより、老後の不安感が日本人が感じるように深刻化していないのではないか?とも思えます。

またシンガポールの政策上、国内で浮浪者をみかけることはありません。

高齢化した浮浪者を日頃目にする機会があれば、何かしら感じることもあるでしょう。

ただ、少子高齢化の波はその親を支えることができなくなるのは明らかであり、今まで一時の調整時期はあったものの右肩上がりの不動産価格も不透明です。

今後の増税を否定しないシンガポール政府ですが、この高齢化問題はこれといった解決策がなく、今後もシンガポールを悩ませる大きなファクターになることは間違いないでしょう。

シンガポールの住宅事情に関しては、少し古いですがJETROのレポートもご参考ください。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001543/2_housing.pdf

シンガポールのHDB(公団)政策は計画的に進む。写真は新たな開発地区のポンポンゴール。