【三浦コラム】イギリス人の実例に見る不用意な発言によるトラブル

 日本人も含めて他国に住む外国人は、何かと自国の文化風習に照らし合わせて、今現在住んでいる国の批判をしがちになります。 近年はインターネットの発達によって、ブログやフェースブックなどで、容易に個々人が諸々の意見や感想を発信できるようにもなりました。
  その為か、批判等は何かと面白かしくしようとする意思が働くのか、ちょっと行き過ぎる表現になる事もある様です。特に個人の表現の自由が担保されている国から来ると、実際に住む外国でもその行動や発言を、自国に住むが如く行う人も少なくはないでしょう。
それは時として取り返しのつかない事になる場合があります。

 先日不用意な発言が大変な事になった実例が発生=とあるイギリス人のフェースブックでの書き込みが、所謂炎上状態になりました。
 それは公共交通機関を使用するシンガポール人を見下す内容であり、またそれを批判された段階でさらに火に油を注ぐ発言をした様で、最終的には会社も解雇。その上、シンガポールに滞在する事自体が困難になり、国外へ出て行きました。
 この事件は、批判された本人だけでなく、家族もその影響を受け、加えて勤める会社にも損害を与える結果となってしまいました(日本人の感覚からすると、当地マスコミもこの事を取り上げる中で、その実名と顔写真をいとも容易に掲載する事には、ちょっと違和感を持ちましたが・・・・・・)。本人はちょっとしたいたずら心から、あの様にシンガポール人を揶揄する投稿をしたのだとは思いますが、その代償は思ったよりも重いものだったと言わざるを得ません。

miura-Feb-14 これは一例にすぎませんが、似たようなケースはシンガポール以外でも起きている様です。

 外国人として、自国でない海外で住み、働くのには大切なものがあるのではないでしょうか。
 それは現地の人達を尊重する気持ちを持つ事だと思えます。仕事で嫌な事もあるでしょう。約束を反故にされたり、時間を守ってくれなかったり、諸々と。
 しかしながら、私達は他所の人の国で働いているという意識を心のどこかに持つ必要があります。それは軒先を借りて商売をしている心持ちでしょうか。

 残念ながら、シンガポールにおける外国人に対する目は、以前程は、けっしてやさしくはありません。
 また、この国は何故か個人が特定される報道が日本などよりも通常になされているように見受けられます。

 そういう社会の中で企業も以前に増して、危機管理の一項目として、社員個人の情報発信に気を付けさせる事をお勧めいたします。その責は企業も負う事にもなりかねないのですから。
 いい機会です。これを機に、私達も自らを省みる必要があるかもしれません。