【三浦コラム】シンガポール人と結婚する人の為の新制度について

 近年はシンガポール人が配偶者であっても、なかなかPR(永住権)の取得は難しくなっています。
 そういう中、2012年4月に始まったLong Term Visit Pass-Plus(LTVP+)というシンガポール人配偶者を対象としたビザに加えて、新しい制度が2015年1月に始まる旨の発表がありました。

 シンガポール人と結婚する外国人は結婚前の1年間、Long Term Visit Pass Eligibility (LLE)というものです。LLEからLTVPへという流れです。勿論の事、申請から許可に時間がかかるものの、これまで通りに最初からLong Term Visit Pass(LTVP)を申請する事も可能です。また、新たにLTVPでも就労ビザなしに、雇用主からのLetter Of Consentで働けるようになります。
(実際ICAとMOM双方にLTVPの就労可能になる事について確認をしてみましたが、運用が始まる来年になってみないと実務レベルでは明確な回答を持っていない様です。 来年には違いを含む新たな情報が提供されると思えますので、該当する方は注視する必要があります。)

miuraNov14 これは現在外国人と結婚するシンガポール人の割合が30%となったシンガポールの新たな試みの一つです。シンガポールにこれから住むことのなる外国人が本当にシンガポールで生活できるのか、この社会に溶け込めるのかという事を1年間試してみては?という意味を持っています。

 確かに、例えば日本でもメディア等で報道されるシンガポールで、高層ビルが立ち並び、近未来国家の様なイメージを持たれる事でしょう。
 しかしながら、暮らしてみると非常に下町の社会の様な濃密な人との関係性、また家族内のしがらみ等があります。日本人の方でも離婚を経験した方も、私が知るだけでも複数名いらっしゃいます。

 収入という生活面はさておいて、このお試し期間は意外と有効なのでは?とも思えます。

 新しい制度が始まると、ではLong Term Visit Pass-Plus(LTVP+)の取り扱いはどうなるのか?との疑問も残ります。
 何事も試行錯誤。これもシンガポール政府のまずはやってみて、柔軟に制度の修正を行うというやり方の一端なのかも知れません。

 シンガポール人と結婚した私ですが、1980年代当時はシンガポール人と結婚してもPR(永住権)取得には特段有利には働かないと、担当オフィサーから言われたものです。その後、結婚するとPR取得が容易になった時期があり、再び今は元に戻った感があります。

 こういうところにも、シンガポールの現状に合わせて修正して行くという現実主義的な姿勢を見て取る事ができるでしょう。