シンガポールの大統領について(新大統領就任に際して)

先月、前国会議長のHalimah Yacob氏が、シンガポールで女性初・8代目の大統領となりました。

今回は出馬を表明した5人の中、他の候補が資格基準を満たさずに、大統領候補者がひとりとなり、結果大統領選挙は行われませんでした。

日本人の中には、シンガポールに大統領がいる事自体、改めて気がつかされた方も多いのではないでしょうか?

大統領はシンガポール建国から続く国家元首であり、賓客の対応などの国事行為を行う象徴的な存在であり、実質的な政治権力は持たない存在です。

 

過去の大統領とその任期(1993年からは民選)

1-Yusof Ishak氏 1965年8月~1970年11月

2-Benjamin Sheares氏 1971年1月~1981年5月

3-Devan Nair氏 1981年10月~1985年3月

4-Wee Kim Wee氏 1985年9月~1993年9月

5-Ong Teng Cheong氏 1993年9月~1999年9月

6-S R Nathan氏 1999年9月~2011年9月

7-Tony Tan Keng Ya氏 2011年9月~2017年9月

 

(参考)大統領について

https://www.gov.sg/factually/content/the-powers-of-the-president

http://www.eld.gov.sg/elections_presidential.html

http://eresources.nlb.gov.sg/infopedia/articles/SIP_899_2004-12-24.html

新大統領の履歴

http://www.istana.gov.sg/the-president/biography

では、シンガポールの政治システムはどのようになっているのでしょうか?

簡単に書きますと「民選の国会議員による1院制の上、そこから選ばれた総理大臣を首班とする議員内閣制の共和国」、それがこの国の政治制度です。

シンガポールは約5年に1回、国会議員選挙が行われていますが、一部の野党議員を除き多くの選挙区で政権与党PAP(PEOPLE’S ACTION PARTY)が議席を確保しているのが実情です。

 

(参考)2015年の選挙についてのコラム

【三浦コラム】政府与党PAPの勝利に終わった2015年総選挙を経て

 

そういう政治体制の中、大統領の存在は、外国人にとって、わかりにくいものに見受けられます。

特に今回の大統領選挙においては、候補者になる資格に大きな制限(過去の経歴や人種など)が色々と変更がありました。

特に下記の2つはかなりの影響があったと考えられます。

民族資格:5期選ばれなかった民族を優先

民間人資格:資本金5億ドル以上の資本金の会社でのCEO経験3年以上

今回の大統領選挙についてはシンガポール人のなかでも色々と論議があり、改めて大統領という存在を考えさせられる機会になったのではないでしょうか?

 

(参考)大統領候補の条件(変更点)

https://www.gov.sg/microsites/pe2017/pe2017/about-ep

前回大統領選挙で善戦し、今回の選挙に出馬できなかったTan Cheng Bock氏のFace Book

https://www.facebook.com/TanChengBock/