【三浦コラム】日本人が海外(シンガポール)で他国人と共に働く事について

 近年、海外で働く事が昔よりも身近になりました。その中で他文化をバックボーンに持つ他国の人とどう一緒に仕事をするか、悩まれる方も増えてきたのではないでしょうか?他国人と一緒に働くという事、それは色々な国でその国特有の文化的・宗教的な事柄を加味しなければなりません。
 弊社があるシンガポール、日本人が管理職としての場合を考えてみましょう。

 この国シンガポールは、別の国から転勤で異動されてきた方がよく口にする、楽だということ。これは国の政策が外資導入に長年積極的であり、外国人を受け入れる土台が整っている事、そして国民の個々人も外国人と一緒に働く事に慣れ親しんでいる事も、その理由かもしれません。
miuraoct10 人種や宗教に関し、差別的な言動は慎むべきである事は当然ですが(場合によっては法的に罪を問われる事もあります)、必要以上に人種間の事に気を使う事もありません。シンガポールは移民国家です。一緒に働く人が、けっしてシンガポール人とは限りません。ある種色々な国の人達がこの国へ集まって来ていると言って過言ではありません(人口508万人 内外国人は185万人=2010年6月)。
 その為か、契約書重視の思想に基づき雇用関係が成立しています。
 契約上、ジョブ・ディスクリプション(仕事の範囲設定)を明確にしておく事が大切です(最低限は口頭で補足説明も可)。日本人同士の様に、以心伝心 空気を読むという事は期待できませんし、すべきではありません。
 残業に対する考え方も違います。日本人にはどこかしら、仕事の成果を見るよりも、一生懸命に仕事をしている姿を見るという考えが残っているように思います。そういう文化の中では、残業をするスタッフを 仕事をするスタッフと思う気持ちは否定できないかもしれません。ただ、シンガポールではその考えは、少なくとも他国人にはあてはめられないものです。
 学歴+資格に対し、フェアーにスタッフ評価をする事も忘れてはなりません。特に業務に関係したものの場合には、日本人以上に学歴や資格に対する評価を期待されます。
 スタッフの能力をして、=シンガポール人の能力と考えない事が大切です。残念ながら日系企業の人気は頭打ちのところがあります。理由はどんなに頑張ってもトップに立てない、ポジションと給与の天井が見えているということです。

 加えて、起業した方は、スタッフに事業継続の真剣さを見せる必要があるでしょう。スタッフも生活がかかっています。その点の配慮が必要です。本当にずっと事業をやっていく意思があるのか?

 最後に、若くしてシンガポールで、管理職として働く日本人の方も多いと思います。それはある面、きつい事であり、全力で頑張ってもなかなか達成できない目標も出てくるかもしれません。
 しかしながら、今日できなかった事が、不思議とある時こなせるようになります。それは確実にご本人の仕事での能力が向上した証でもあります。またこの事は、海外で働く醍醐味なのかもしれません。
 注意すべき点は、知らず知らずのうちに他者(シンガポール人を含めた他国人)に対し傲慢になってしまっていないか?立ち止まって考える機会を持つ事でしょう。