【三浦コラム】シンガポールの現在と展望、NDR(ナショナルデーラリー)

シンガポールでは、8月9日の建国記念日にNDP(ナショナルデーパレード)があり、同月(通常は2週間後の日曜日)にNDR(ナショナルデーラリー)という首相のスピーチが行われます。

NDRは、毎年年度末に財務大臣が発表する予算と合わせて、シンガポールの現状把握とこれからを確認するのに非常に参考になるものです。シンガポール人のみならず、私たち外国人にとっても、見逃せないスピーチのひとつです。

2022年の内容も盛沢山でした。
箇条書きにて、その内容をご確認ください。

  • コロナの現状と規制緩和(マスク着用義務の緩和)。
  • コロナパンデミック下に社会貢献した人たちへのメダル授与計画発表。
  • 世界情勢の厳しさ、シンガポールはロシアを非難。国際秩序の堅持。
  • シンガポールは国として団結。分断を図る行為は許さないこと。
  • コロナパンデミック後の経済回復、しかしながらウクライナ戦争により先行き不透明。
  • 物価上昇に対し、中低所得層の支援対策。
  • 為替政策にも限界があり、輸入品の価格上昇は避けられず、インフレは抑止困難。
  • 国民がより多くの収入を得られるように、変革と努力によりスキルアップ。
  • 2030年までに必要な栄養分の30%を国内生産により得られる30by30Goalを推進。
  • 食料備蓄政策はしっかり取っているので、安心すること。
  • 男性間の性交渉を違法としたSection377Aの廃止を決定。ただし結婚に関しては男女間にて行うものとすること(シンガポール社会の価値観を堅持)。
  • 次期首相がForward Singaporeを立ち上げ。
  • シンガポール人であること。国民としての自覚。
  • シンガポールは世界に開かれた政策を堅持。
  • シンガポール自体、人材の宝庫であること。
  • 有能な外国人人材を世界から誘致。
  • 成功したバイオメディカル分野のように、これからは新たにIT分野に注視して人材誘致。
  • 最新設備を備えるTuas港とターミナル5を計画のチャンギ国際空港の開発。
  • パヤレバ空港を再開発する巨大プロジェクト計画。国土は狭いながらも、充分な土地を有すること。
  • ローレンスウォン副首相を中心とした第4世代への移行。

NDRで首相が発表した内容は、随時政府各部署より詳細具体的な政策発表があります。

シンガポールに滞在する日本人でも、NDRの内容詳細を把握している人はあまり多くはないかも知れません。
上記も箇条書きにするために、多くを省いています。
今一度、リーシェンロン首相のスピーチ内容をご確認されたい方は、下記ウェブサイトでも公開されていますのでご参考にしてください。

National Day Rally 2022
https://www.pmo.gov.sg/Newsroom/National-Day-Rally-2022-English

ぜひ一度、お聞きして(全文も文章でありますので、ご一読)、その内容をご自身の目でご確認ください。

シンガポールは、課題である次世代政治家グループ(第4世代)に、国の舵取りを引き継ぐとともに、数十年単位での未来を見据え、前に進んでいくのだな、という印象を持ちました。

皆さんは何を思いましたでしょうか?

ナショナルデーパレードのリハーサル風景