【三浦コラム】シンガポール生活を直撃する住宅事情(賃貸料金の高騰)

シンガポールに在住する日本人の中、話題の中心は最近の賃貸料金の高騰です。

賃貸料金の高騰

コロナ禍を抜け出したシンガポールでは、物件数の逼迫により、過去にない賃貸料の上昇が見られます。

新規契約のみならず、賃貸契約の延長(通常物件を借りる期間2年を越した方の再契約)でも、軒並み想像以上の値上げ価格を伝えられたりと、なかなか厳しい状態です。1つの物件に複数の申し込みがあった場合には、誰が一番高い家賃を提示するか?などのオークションになるなど、今までにはない貸主優位の状況となっています。

会社で家賃負担をしている場合には、他の駐在員との家賃費用の整合性をどう取るか?どこまでの価格差を許容枠として捉えるのか?によって、個々人の家賃に使える予算が決まることでしょう。

また、家賃上昇のみならず、借主=テナントの不動産エージェント手数料支払いの発生(借主が自分のエージェント料金を負担しないと物件が見つからない)や、まだ誰かが住んでいる段階で物件を決めてしまわなければならないなどの(借主側からみての)借りる方に好ましくない現実も生じています。これまでは不要だった費用がかかることになりますし、他人が住んでいる物件では下見も不十分となります。

(注)シンガポールでは通常、貸主側・借主側双方に不動産エージェントがつき、一定金額以上の賃貸契約に関しては、借主は不動産エージェント費用を負担しなくてよしとするルール。

人気の物件には複数の希望者も

賃貸料金急上昇の原因

賃貸物件の逼迫と価格上昇に関しては、下記の理由が考えられます。

  • コロナパンデミックによる新築コンドミニアムやHDBフラット(公団住宅)の完成遅延による絶対的な供給数の不足
  • 金利上昇にともなうローン返済金額上昇を賃貸料金に転化
  • 新たな不動産取得規制発令(2022年9月)
    タイミングが悪いことに、政府の新たな不動産取得規制(コンドミニアム・アパートを売却した人は、売却後15カ月は公団住宅を購入できないというもの)により、それらの人たちが賃貸マーケットに流れてくるという、コンドミニアム(アパート)を借りる方からするとさらに不利な状況を生んでいます。
  • 値上げのムード
    これはシンガポールにお住いの方ですと何となくわかるのですが、値上げの時期には高騰し値下げの時期には急落するという、日本にはない乱高下の不動産賃貸事情も加味してもいいかも知れません。
    いわゆる今は、借り手が高値で借りるならば、乗り遅れるな的なムードです。

参考記事(地元英字記事 CNA、Strait Timesより)

‘Overwhelmed, defeated’: Expats face up to 70% rise in housing rents as prices hit record highs – CNA (channelnewsasia.com)

Rise in housing rents due to COVID-19 construction delays, demand amid pandemic recovery: Desmond Lee – CNA (channelnewsasia.com)

Condo, HDB rents up in September; strong demand ensures landlord’s market | The Straits Times

15-month wait for private home owners to buy resale HDB ‘a form of deterrence for buyers with deep pockets’: Analysts – CNA (channelnewsasia.com)

この状態がいつまでも続くとは考えづらいのですが、取り敢えず現状を踏まえて、予算に見合った住居を探すことになろうかと思えます。

難しい選択ですが、現在は予算に見合い、瑕疵がない物件をうまく借りることができれば、運がよかったというのが現実のようです。