【三浦コラム】シンガポールの旧正月(チャイニーズニューイヤー)について

 シンガポールに暮らし始め、初めて旧正月(チャイニーズニューイヤー)を迎える方は、この高層ビルが立ち並ぶ国が 何だかタイムスリップして昔に戻ったように感じられる事も多いのではないでしょうか?

 シンガポールは多民族国家であると共に、その国民の多数を占めるのが中華系であることから、華人文化が色強く感じられる国です。この事はマレー系イスラム教の主な東南アジアのこの地区では興味深い特徴でもあります(2010年の政府の資料によると 主な民族では、中華系74%、マレー系13%、インド系9%となっています)。しっかりと伝統はその各民族に生きており、この華人系国民が多いシンガポールも旧正月は一大イベントです。
 街もクリスマスが終わり、年が明けると共に街は旧正月の飾りつけに覆われてきます。

 miurafeb112011年の元旦は2月3日でした。この日 中華系の家庭では、家長である父親(もしくは長男)のところに一族が集まります。この時期に特に用意されるのが、バクワと言われるBBQポーク、パイナップル・タルト、ニアンカオと呼ばれるケーキ、そしてオレンジです。すべて幸運を呼び込むという意味が込められているようですが、特に実家の両親や親戚、友人を訪ねる時に相手の幸運を祈ると言う意味で2個のオレンジを持参するのは習慣ともなっています。

 また、魚生(イーシェン、またはローヘイ)と呼ばれる旧暦の正月1日から15日にかけて行われる独特のお祝い料理も見る事が出来ます(現在の形は60年代のシンガポール発祥の様です。体験された方もいるのではないでしょうか?)。
この間は長期のお休みになる会社もありますが、家族が集まる旧暦の1日は避けて、海外旅行などは翌2日から出かける事が多いようです。 

 さて、すでに新暦の正月を主に祝う日本人として、この期間に注意する事は、日本からの来客です。
旧正月の祝日以外はカレンダー通りに営業している組織や会社なども、担当者が長期のお休みに入っている事があります。大事な来客との会食などもお店が閉まっている為、苦労するかもしれません(ひと昔前程は長期間お店が閉まっている事も少なくはなりましたが、いまだその傾向は残っています)。

 旧正月明けは社員の転職が盛んに行われる時期になります。
 これは最近の多くの会社では12月がボーナスの時期となっている為(以前は1月の会社も目にしましたが)、契約上 退職を雇用主側に伝えるのが12月のボーナスをもらってから、という意味合いもあると言われています。

 街が幸福の色「赤」で彩られたこの時期(旧正月前)にチャイナタウンの方に足をのばし、その雰囲気を味わうのもいいかもしれません。
 旧正月の時期は、日本とは異なる正月を体験する機会でもあると共に、日本からの来客に関しては注意の必要な時期とも言えるでしょう。