【三浦コラム】2011年シンガポール政府の予算が企業活動に与える影響

 2月に2011年のシンガポール政府の予算が発表されました。
 その中には少なからずも企業活動に影響のある内容も見られます。今回はそれについて触れてみたいと思います。

 今回の予算は今年行われるであろう総選挙を視野に入れた、対シンガポール国民にアピール度の高いものとなったと言われています。所得税の減税措置も含み、所謂 多くのシンガポール人にメリットを与える内容とも言えるかもしれません。
 
miuramar2011 それに伴い、いくつかの項目について変更が加えられました。中でも企業活動に関係が深いものについて取り上げてみました。

 

 9月より、シンガポール国民とPR保持者が納めているCPFの企業負担が0.5%引き上げられ、一般就業者において16%となります。また算定月給額上限も4,500ドルから5,000ドルに引き上げられます(ここではわかり易いように、AWと呼ばれる給与以外の収入を含めた説明、またCPFの年齢における納めるべき%の違いなどの細かい事の説明は省きます)。

 LEVY FEE(適当な訳かはちょっと疑問も残りますが、人頭税と日本語に訳されたりもする、一人あたりに課される税金です)については、順次最終的に2013年までに、1=建築業(最大)750ドル、2=サービス業(最大)600ドル、3=製造業(最大)550ドル、4=Sパス(最大)450ドルまで引き上げられます。

 以上の2つは人件費の負担増という事になります。

 

 もうひとつは、法人税の減税措置方法です。

 法人税に関しては、2011年賦課年度(2010年終了会計年度)について20%の税額控除―最高限度S$10000–または、収益の5%の助成金交付(最高限度S$5000-)が適用されるようになります。
 因みに、この助成金は、納税額が納税額が低い中小企業に対しても十分還元がされるように取られる措置です。
 
 2011年度の賦課年度の賦課決定時に上記いずれか高い方の金額が当局の税額計算に自動的に算入されることになります。

 実際会社を運営されていらっしゃる方は法人の経理の数字をあてはめてみてはいかがでしょうか?

 

 3月に入り、EP(エンプロイメント・パス)の基準月給額も引き上げられる発表もありました。

 外国人に頼る傾向の強い在シンガポールの企業ですが、今後は日本人を含む外国人労働者を、何人雇用し、どう活かして企業活動をするかを、熟考かつ再考する必要があるかもしれません。