【三浦コラム】シンガポールの2012年度予算に目を通して

 シンガポールでは年に1回、2月に政府の予算発表があります。歳出入の結果と計画が示されると共に、国民やシンガポールで経済活動をする外国人を含む人々に深く関係する各種の方針も公開されます。
 今回も色々と方針が発表されましたが、そのいくつかを例に取って、ご説明します。

 まずは、外国人労働者の抑制です。
 前にも書きました様に、昨年5月の選挙以降、シンガポール政府はシンガポール人第一主義を掲げており、今回は各セクターで働く外国人の割合の引下げを発表しました。
 日本人が取るビザの内、EP(エンプロイメント・パス)は、既に条件が厳しくなっている以上にそうは影響をうけないものの、Sパスと言われるビザの人数制限が縮小されました。これから順次増えるLEVYフィーと合わせて、小規模の会社で日本人の雇用をお考えの企業は注意する項目のひとつです。

 50歳以上の老齢者へのCPF積立レートの引き上げにも注目したいと思います。
 55歳はミニマムサム以上の積立金をおろせる年齢ですが、働く限りCPFへの支払い義務は残ります。
*50歳~55歳=雇用主が2%加算で12%から14%・雇用者が0.5%加算で18%から18.5%、合計32.5%
*55歳~60歳=雇用主が1.5%加算で9%から10.5%・雇用者が0.5%加算で12.5%から13%、合計23.5%
*60歳~65歳=雇用主が0.5%加算で6.5%から7%・雇用者は変わらず7.5%、合計14.5%
*65歳以上は=双方変わらず、6.5%と5%、合計11.5%
これらが2012年9月から変更となります。

 源泉徴収税の納付期限の延長もありました(2012年7月1日から)。
 現行は翌月の15日までの支払いが翌々月の15日までに延長されます。源泉徴収税は英語ではWithholding Taxと言い、海外からの会社のサービスを当地シンガポールで受けた場合に、支払う方が代わって税金を納入しなくてはなりません。
 例えば、日本から出張で技術者がシンガポールに来て、機械の修理を行い、その使役の対価をシンガポール法人が日本にある会社(海外)へ支払う場合などにかかります。所謂源泉がシンガポールで生じる場合において(利子やロイヤルティなども含む)、支払い先が居住者(法人・個人問わず)でない場合です。
 経理処理に時間的余裕ができる内容です。

 昨年に続き中小企業への助成金を含み、色々な措置が予算に盛り込まれていますが、ご興味のある方は一度シンガポール政府の公式ウェブサイトからその詳細をお読みになられるのをお勧めいたします。
 経済活動に関わらない内容などは、シンガポールの福祉の一環が見取れます。