【三浦コラム】MRT Thomson Line(トムソン・ライン)建築に関して
5月の選挙でも話題にもあがりましたが、国民の不満の1つは、地下鉄=MRT(Mass Transit Transport)の混雑です。この10年に開通した鉄道(地下鉄)はMRT(Mass Transit Transport)、03年開通したNorth East Line(紫色)、2011年にほぼ全線開通したCircle Line(黄色)の2つです。
到底これではまだまだ増えた人口の移動を吸収できず、朝夕の時間帯によっては、まるで日本のラッシュを思い起こされる様な混雑ぶりが生じています。
これは現在の公共交通機関の輸送能力を超えたものだと思われています。
利用者増加に対応する為に列車の運行本数を増やしたせいか、故障も起き、大きな騒ぎとなりました。
10年間に増えた人口とは、先日シンガポールの総人口推移が新聞でも取り上げられていました人口推移の数字(10月6日、地元英字新聞The Straits Times)を見ると、2002年に418万人だった総人口が、2012年 531万人と言う具合に113万人が増えています。
8月のナショナルデー・ラリーの後、現在2017年の全線開通を目指し工事が続いているDown Town Lineに続いて、Thomson Lineという北から南へのラインの正式発表がありました(全線開通予定は2020年)。計画路線図を見ると、現在混雑のNorth South Line(赤色)のバイパス的な路線です。
新ラインの建築に際し、いくつかの土地の立退きも生じました。
この点は日本人が考える程の表立っての反対は起きない様です(Rochar RoadのHDBフラット立退きの様に反対する人には、その地区の国会議員が説得に廻るなどしているのかも知れません)。シンガポールの国会議員は担当地区の住民との対話を定期的に、また事あるごとに行っています。
まずは公共の福祉が優先すると言う事でしょうか。
新ラインの建築整備は、その沿線の風景を変えていく大きなファクターとなり得ます。
ちなみに、この約10年でNorth East Line(紫色)沿線にはいくつものコンドミニアムが建築されました。沿線のある地区はコンドミニアムの部屋の広さを一定以上でないと建築できない様にし、沿線人口増加を抑える試みも始まっています。
人口増に対しインフラ整備をどう整えていくかが、与党政府のこの先の課題の一つでもあるでしょう。その主役を演じるのはMRT建築である事は間違いありません。
また、シンガポールにこれから滞在する方は、建築後の利便さと建築中の騒音を念頭に、お住まいを探される事をお勧めいたします。