【三浦コラム】シンガポールの賞与について

 今年の11月の末にはバス会社SMRTの中国人バス運転手が他外国人運転手との昇給差等の不満からストライキをし、大きな話題となりました(結果5人の逮捕、29人のシンガポールからの強制退去=ストライキの違法性<厳密に言えばストライキを行うことは可能ですが、細かな規定・制約が法律で定められています。>もしかしたら、安い外国人労賃に支えられた社会は、変わらざるを得ない時代に来ているのかも知れません)。

 この様な事があると改めて社員の給与の査定とは何だろうと考えてしまいます。査定と言えば、インセンティブを一番反映させやすいのは賞与と思えます。
 今回はその賞与について考えてみたいと思います。

 シンガポールでは、13ヶ月目の給与としてAWS(The Annual Wage Supplement)という言葉を耳にします。MOM(人材省)のウェブサイトにも明記がありますが、これはボーナスと別に記載・説明されています。
 ただ、このAWSの支払い義務は法律で定められているものではありません。では、支払わなくてよいのか?となると、これはシンガポール社会では定着したものですので、そう簡単には無視はできないというのが現実です。他方、ボーナスは12ヶ月働いたスタッフに、会社の業績、その貢献度(個々人の査定)に従い配分され、支払われるものと考えます。
 AWSとボーナスと別途分けて支払わなければならないと勘違いされている方がいらっしゃいます。しかしながら、一括してもかまいません。これからシンガポールで就業規則を作成する会社は、ボーナスとしてひとつのくくりとして規定化するのをお勧めいたします。

 最近の面白い支払い時期の傾向として賞与は、以前支払われていた旧正月前よりも、12月に支払われる会社が多い様です。
 皆さんの会社はいかがでしょうか?

 この国では賞与をもらい世間が落ち着く旧正月明けに社員が転職していく事が多くあります。これも辞表をいつ出すかによって、就業規則によって賞与の額に関係する可能性もあります。
 その点は明確にする必要はあるでしょう。

 雇う方も雇われる方も、正しく法律・就業規則・個別の契約書を理解し、間違いのない雇用関係で事業を押す進める事が肝要です。