【三浦コラム】2022年度シンガポールの予算から

2022年度のシンガポールの予算(2月18日発表)は、私たち日本人にとっても関わりのある案件が数点ありました。
その中から、今回はシンガポールに住む日本人に関係の深い2つの内容を見てみたいと思います。

EP(Employment Pass)とSパス

シンガポールで日本人が就労するためには、就労ビザを取らなければなりません。
シンガポールで日本人が働くために取得するのは、EPとSパスになります。
*ここではEPを持つ配偶者が取得するWork Permitは省きます。

これらには最低賃金(月給)が設定されていますが、新規申請は2022年9月より、更新は2023年9月より、変更となります。

  • EP・・・・・・現在の4,500ドルから5,000ドルへ
  • Sパス・・・・・・現在の2,500ドルから3,000ドル

*金融業界は、上記に各500ドル上乗せ

これらはあくまでも最低賃金ですので、就労ビザ申請者の年齢や出身大学の違いにより、上記最低賃金ではビザが出ないこともほとんどです。
年齢が上がるとともに、就労ビザを取得できる給与額も増加しますので、あくまでも最低ラインという理解になります。
また、Sパスには企業は別途Foreign Worker Levy(FWL人頭税)を支払う義務があります。この税も引き上げの対象となります。

これらは、今後ますます日本人のシンガポールでの就労が難しくなることを意味します。
その給与を準備可能な日系現地法人も、日本で働く社員との給与との整合性に悩まされるかもしれません(シンガポールで働く社員が日本で働く上司よりも多くの給与を得るなど)。
日本人(外国人)社員が必要な法人は、本社から切り離した給与体制の構築(見直し)が求められるかも知れません。

GST(消費税)の引き上げ

現在7%の消費税ですが、

  • 2023年1月からは8%
  • 2024年1月からは9%

と2回に分けて、引き上げられます。

前々から9%への引き上げの大まかな予定は伝えられていましたが、今回改めてスケジュールを決めての発表となりました。
これは、シンガポールに住むすべての人に直接影響する内容です。

合計2%の確定ながら、高齢化が進むシンガポールでは、確実に徴収できる税として、2024年以降も引き上げは進んでいくものだと思えます。
この先に、GSTがどれだけ引き上げられるか?9%で終わるものではないのは確実です。

今回のシンガポール予算には各種増税変更が見られます(固定資産税・所得税の引き上げなど)。
詳細は、シンガポール財務省のウェブサイト(下記)をご参考にしてください。

2022年予算(シンガポール財務省)
https://www.mof.gov.sg/singaporebudget