シンガポールのCPIB(汚職調査局)の政治家摘発について

CPIB(Corrupt Practices Investigation Bureau)という組織名を、最近頻繁に目にするシンガポールです。
日本語では汚職調査局とここでは訳しますが、ひじょうに強い権限を持つ政府の調査組織であり、今回は政治家の摘発で大きく注目されています。

注目された2つ

2人の閣僚が広い政府所轄の建物を自らの住居として借りていた件に加えて、7月には現役の大臣が逮捕されました。

住居の件の調査結果は、汚職要素無しとされましたが、現役閣僚が汚職で逮捕されるようなことは1986年が最後であり、シンガポールでは極めて異例なことです。
大臣逮捕に合わせて不動産王とも言える人物が逮捕されたことは、汚職の少ないシンガポールでは衝撃を持って受け取られました。
逮捕された政治家には、厳しい処遇が予想されます。

元々CPIBは、1952年イギリス植民地時代に汚職防止のために作られたものです。
リークワンユー回顧録によると、小規模の賄賂などにはガイドラインを作成して手続きを簡易化して取り締まり、CPIBには高官などの多額賄賂事件の摘発に集中させたとのこと。

過去の政治家摘発

汚職追放の強い意志を持ったシンガポール政府(与党:人民行動党)により、CPIBは組織強化され、1980年1986年と2人の政治家の汚職追及にもその力を発揮しました。

さて、此処で改めて過去にこの汚職調査局が摘発した政治家がどうなったか?
2人の実例を見てみましょう。

前者は海外逃亡し、リークワンユー首相の死去後の2015年にバンコクのシンガポール大使館に出頭、その老いた姿は当時大きな話題にもなったものです。
最終的に帰国後5年間の実刑となりました。
帰国拘束時に、リーシェンロン首相がシンガポールではノートレーランス(許容は無し)と公的に述べたことは、強く印象に残っています。

後者はこの度の汚職摘発に際して、前回の現職の閣僚(国家開発相)だった政治家が絡んだ事件としてこの機会にも新聞記事でも取り上げられていましたが、遺書を残して自殺を選びました。

今回の汚職事件の詳細はまだ公開されていませんが、現職の閣僚が逮捕されたという現実は動かしようもない事実です。

クリーンな政治が世界にも誇れるシンガポールですので、国民がショックを受けるような内容が出てくることは想像の範囲ですが、何かあったのか?今後の情報公開が待たれるところです。

CPIB(Corrupt Practices Investigation Bureau)については、オフィシャルサイトをご参考にしてください。
https://www.cpib.gov.sg/