【三浦コラム】シンガポールに日系会社が法人を持つ意味とは?

 東南アジアの市場への参入が声高に言われています昨今、震災後からでしょうか、実際に中小企業の方々からのお問い合わせが増えました。
 その様な現状の中、今回はシンガポールに法人を持つ意味合いを考えてみましょう。

*シンガポールの日本商工会議所の会員社数は現在725社です。この数字をみると少なく感じるかもしれません。しかしながら、会員になっていない日系企業も多く存在しています。この数字は他国の日本商工会議所との比較において参考になるものの、実際の進出企業数とは異なる数字ととらえてよいでしょう。

miuraaug11 シンガポールと言う国の人口規模を考えても、ここ1ヶ国での商売はスケールメリットのあるものではありません。しかしながら、地理的観点から、東南アジアの拠点としてのオフィスを構える事、ここを拠点として近隣各国へと販路を広げていくのに有利な場所である事は明確です。
 それを支えるのはこの国のしっかりとしたビジネスインフラと政治体制の安定です。
 公文書でも使われる公用語としての英語・しっかりとした法整備・対応の整った関係役所・社会で認められない汚職(明確なお金のみ考えればよいところ)・インターネットなどをも利用した公機関の効率化・整備された通信や道路網・空港の利便さ、数えてみればきりがないほどです。勿論の事、これらのビジネスインフラを強力に推進してきたのは安定した政治体制です。

 最近よく言われるリージョンHQへの減免措置。これは減免の条件がどちらかと言うと大企業に向いたものである為に、中小企業では念頭に入れない方が良いかもしれません。
 また、あえてマイナス点をあげておきますと、オフィスの維持には高コストであるという事です。人件費・家賃・車の所有など、諸々な点で周辺の他国の方が低コストで手に入るものも多いでしょう。

 では、高コスト体質のシンガポールでの事業開始、魅力はないのか?というと、その高コストを考えみても充分に余りあるほどの魅力がある事は、下記の点でも言えると思います。
 まずは100%外資(日本からの資本)での会社設立が可能である事(一部例外を除く)、これは周辺他国での事業展開は合弁先次第だとも言われる中で大きな利点です。
 英語が通じる事、これは非英語圏から来た日本人にとって、想像以上に負荷の少ない点です。例えば、タイですと英語に加えてタイ語の習得に時間を費やす必要もあります。また英語を話すスタッフ雇用のコストも無視できません。非英語圏での就労経験のある方であれば、その点を明確に自覚できるはずです。
 加えて、シンガポールは親日的な国であるという事、これは学校教育で日本占領時の事を国難(その当時はシンガポールという国は存在しませんでしたが)として修学しているにも関わらず、です。

 まだまだシンガポールという国は周辺国と比べても外国人が事業を始めるに適した国である事は確かです。これから東南アジアへの進出をお考えの方々には、是非シンガポールの可能性をお考えいただく様にと思います。