【三浦コラム】GST登録企業と非登録企業について

 日本での消費税に同様の税として、ここシンガポールでは各種サービスにかかるGST(Goods and Services Tax)があります。94年に3%で導入された当税金は04年に5%に引き上げられ、07年に7%に再度引き上げられて、現在に至っています。

 シンガポールにお住まいの方は、飲食店などでのお食事時に、GSTを請求しているお店と請求していないお店があるのに気が付かれている事でしょう。これはどういう事なのか、考えられた事はありますでしょうか?不思議に思われている方もいるかもしれません。
 それはGSTの納税義務の有無が関係します。つまり、すべての企業がGSTを税務当局へ納税義務があるかという事、ここにGST登録企業と非登録企業の違いが生じます。

 GST登録企業とは、税務当局にGSTを預かり金として扱う事を申告・登録している企業の事です。年間1ミリオン(100万ドル)以上の売り上げがある企業は必ず申告・登録する義務があります。非登録企業とは、年間1ミリオン(100万ドル)未満の売り上げである企業・かつ登録を希望しない企業です(売り上げが規程金額に達せずとも、GST登録企業となる事は可能です)。

miurajul11  登録企業は3ヶ月に1回の税務当局に申告義務があります。払ったGSTと受け取ったGSTを届け出る義務が生じます。それにより預かり金であるGSTの差額を納付しなければなりません。非登録企業は払ったGSTは損金として、計上する事となります。よって還付もない形です。

 Tax Invoiceという請求書には、GST Reg. No.という数字を見る事があるでしょう。これはシンガポールの税務当局に登録しているNo.で、請求書には記載義務があります。
 請求書を受け取られた方でこのNo.が見当たらない場合、その企業は非登録企業である可能性があると言えましょう。もし非登録企業がGSTとして表示しその金額を加えた請求書を発行している場合は不正行為の可能性もあります。
 GSTはあくまでも国税としての預かり金であり、それは企業の売上収入として計上されるものではないからです。
 実際例として、本来受け取ってはいけないGST分を非登録企業がTax Invoice(請求書)上に記載し、受け取っているケースもあると耳にした事もあります。その場合、その事業主は刑事罰(罰金のみならず、禁固刑も有)の対象になる事もありますので、安易な行為は慎む必要があります。

 非登録企業の社員は請求金額の説明をする時には、価格は「GST込みの価格です」ではなく、自社は「非登録企業ですので、GSTは請求いたしません(できません)」と説明するのが正しい言い方かもしれません。

 最後に余談となりますが、シンガポールも先進国の例外でなく、国民の高齢化を考える上で、この税の上昇はさけられないものなのかもしれません。