【三浦コラム】CPF積立金の年金支給について

 既にご存知の方も多い様に、シンガポールの年金制度は勤労者各自と会社からの拠出金を合わせて、個人のCPF口座への積立、それが基礎となっています。日本人の間では積み立てるCPFの個人や会社負担率については時々話題になってはいます。しかしながら、年金を受給する立場になってのCPFのシステムについては、皆さんはあまりご存じないのではないでしょうか?
 
miuranov11 実は現在受給者となっている私にとっても、今回のトピックは改めてシンガポールの年金制度を日本の制度と見比べるいい機会となりました。
 
 積立式年金制度とも言えるシンガポールの制度を受給面から簡潔に記載したいと思います。
 積立金は、定められた料率により、給与に「雇用主負担率・勤労者負担率」を乗じて合計を出し、それを3つの口座に決まった%で振り分け、入金されます。
 55歳の段階で、ミニマムサムと言われる定められた金額を超える積立金を引き下ろす事となります。このミニマムサムは別に、医療口座(医療ミニマムサムを呼びます)がもう1つあります。これは定められた金額を別途にその口座に残す形となります。

 そして、1958年生まれ(2013年に55歳になる)以降の人は、皆がCPFライフをいう年金プランに加入する事となります。ただし、ミニマムサムを4万ドル以上持つ場合には自動的にCPFライフへ加入、それ以下の場合には任意加盟となります。
 また、日本同様に年金の支給は60歳から順送りに65歳へと引き上げられます

1944年―1949年生まれ62歳
1950年―1951年生まれ63歳
1952年―1953年生まれ64歳
1954年以降生まれ65歳

 65歳からは、加盟したCPFライフの種類(4種類有)により、月ごとの支給が死去するまで行われます(ただし、下記のLife Income Planは受給年齢に達さず死去の場合も遺産なし)。
 4種類の名前と内容は以下です。

・Life Plus Plan(月の受給大 遺産小)
・Life Balanced Plan(月の受給中 遺産中)
・Life Basic Plan(月の受給小 遺産大)
・Life Income Plan(月の受給最大 遺産なし)

 55歳がひとつの目安の歳になるのですが、シンガポールも急速に進む高齢化により、その年齢の引上げ等が検討されている様です。その点は注意が必要です。また、働いている場合には55歳を超えても、CPFの積み立て義務は残ります。
 そこも留意したいところです。
 
 55歳までにミニマムサムに満たない金額しか積み立てができそうにない場合には、払い込み制度もありますので、それを利用するのもよいでしょう。
 現在の低金利時代においては、CPFの金利も魅力的かもしれません。ただし、その場合の諸条件は確認する必要はあります。

 CPFライフへの基本的全員(国民、永住権保持者)加盟は、高齢化が進むシンガポールの高齢者の貧困に対するひとつの歯止めとなるのかもしれません。
 簡単にCPFの積立金受給について書きましたが、詳しくはCPFのウェブサイトをご参照ください。

*当コラムの「シンガポールのCPFについての省察」も合わせてご参照ください。