【三浦コラム】シンガポールの税について
今回はシンガポールの税ということについて、少しばかり考えてみたいと思います。
最近海外移住を唱える日本語メディアやウェブサイトの記事を多く目にするようになりました。そこでは、税制の魅力という点で、シンガポールが移住先のひとつとして取り上げられてもいます。
興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
言うまでもなく、海外から企業や投資家などを含む富裕層を自国に取り込むことを国策としているシンガポールは、税金の安い国として知られています。
実質、具体的には2010年現在 法人税は17%となっています。
この低率の法人税は、アジアの国では例外的に汚職などが排除されている、英語を公用語として使用しているという環境に加えて、企業がリージョンオフィスをここシンガポールに置く決断の後押しをしています。
(ちなみに、日本でいうところの消費税に対応するGST=Goods & Service Taxが7%あります。GST登録企業は4半期ごとに申請)
個人につきましては年に1回、その収入に基づく確定申告。収入は扶養家族でない個人は夫婦であっても個々人で申請をします。
近年はe‐fileという個人のシンパス(政府系のウェブを利用する場合にはこのパスが必要)を利用し、ウェブサイト上でも申請できます(実際政府はこちらを奨励)。申請後IRA=Inland Revenue Authority of Singaporeから確定した税の連絡が届き、それを期限までに納税することで一連の作業が終了します。
相続税がないこと(2008年に廃止)、贈与税がないこと、累進課税に上限20%のシーリングが設けられていること、キャピタルゲインに課税されないこと、固定資産税が安いことなどの個人が資産を保持できる余地が残されているという点が、富裕層をシンガポールへ呼び込む誘い水ともなっています。
実際、近年では世界各国からシンガポールへと、富裕層の移住が見られるようです。
例えば、EDB=Economics Development Boardが提唱するインベスト・スキームという投資家向けの投資&移住プログラム、また海外からの起業家への新会社設立のバックアップなどは、国益を考えたシンガポールの政策のひとつと言えるでしょう。
ただし、制度は時によって変わります。特にこの国の制度の変更、即日実施は珍しくありません。
重要な点は、多くの情報があふれている中、正確な現在の情報を入手する手間を省かないということです。