【三浦コラム】ナショナルデーラリー2019について
8月18日(日曜日)は、シンガポール首相の国民に向けてのスピーチ、ナショナルデーラリー(NDR National Day Rally)が行われました。
このスピーチは毎年行われる恒例の行事のひとつですが、実務的な予算発表(毎年2月に発表)と合わせて、シンガポールを読み解く上で大事なものです。
2019年のナショナルデーラリーの内容 大きくは以下の3点
- プレスクールに通う子供を持つ家庭・大学生などへの学費の補助拡充
- 定年年齢と55歳以上のCPF(Central Provident Fund Board 中央積立基金)積立率の引き上げ
- これからの気候変動へのシンガポールとしての対応
この中で、私たちシンガポールに関わる日本人(特にマネージメントに関わる人)が注目したいのは、シンガポールの高齢化社会に関わる取り組みです。
シンガポールの高齢化社会対策
細かなロードマップは今後明らかにされていくでしょうが、スピーチでは大まかながら具体的な数字が示されました。
定年・再雇用年齢の引き上げ
- 定年年齢は、62歳から63歳に引き上げ(2022年)、65歳(2030年)
- 再雇用年齢は67歳から68歳まで引き上げ(2022年)、70歳(2030年)
シンガポールの定年制は現在62歳であり、再雇用希望者には67歳まで企業はその社員を雇用し続けることが求められています(条件あり)。
これが、将来的には65歳を定年とし、70歳まで再雇用の対象となります。
CPFの積立率の引き上げ(55歳以上)
- CPFの積立率の引き上げ(2021年から10年をかけて)
- 60歳まで37%、60歳から65歳26%、65歳から70歳16.5%
*70歳から12.5%は変わらず。
*CPFの引き出しルールは変更しない。
現行では労使双方の負担率合計は、55歳までが37%、55歳から60歳までが26%、60歳から65歳までが16.5%、65歳からが12.5%ですので、5年間年齢が上乗せされた形となります。
この2つが意味することは、シンガポールの労働市場の高齢化がいっそうすすむということ、それに向けて雇用の確保を考えていることです。
今度ますますシンガポールで経済活動を行う企業は、高齢化社会に伴うコスト上昇を吸収できるべく、かつ高齢者に有効に働いてもらえる場をどう生み出していくか?が問われるでしょう。
まずは今後の政府発表(詳細)に注目したいところです。

CPFの窓口は、各種手続き・質問に随時対応できるように多くのスタッフが控えています。
National Day Rally2019については、下記をご覧ください。