【三浦コラム】シンガポールの今後の展望(今年のナショナル・ディ・ラリーから)

 シンガポールでは、8月の建国記念日に合わせて、8月18日に首相が国民にこれからの国の方針等を語りかけるNDR(ナショナル・ディ・ラリー)が行われました。
 語られた主たるものは4カテゴリー(インフラ整備、持家、健康、教育)でした。どれもシンガポール国民には深く関わる問題です。
 国民のセイフティ・ネットの拡充はシンガポール国民にとって関心の高いところだったと思いますが、私達外国人が注目するのは、インフラ整備でしょう。
 今回の発表は長期プランながらも、内容はドラスティックなものでした。

 下記に箇条書きしますと、

・現在軍が使用しているパヤレバ空港の機能をチャンギへ移行し、パヤレバ空港跡地は宅地・オフィス・工場などに再開発(2030年以降)。
・チャンギ空港ターミナル1にインドアガーデンを持つ複合施設を建築。シンガポール人、旅行者共に魅力的な場所とする。
・チャンギ空港のターミナル5の建築計画(完成は2020年代中盤予定)。
・タンジョンパーガーなどのコンテナ港をトアスへ移転し(2027年予定)、跡地を再開発(サザン・ウォーターフロント・シティ)。

miura9-13 シンガポールと言うととかく金融などが良く注目されますが、昔から現在に至るまでこの国は物流の起点です。
 言うまでもなく、チャンギ空港の利便さとその評判の良さは、他国の国際空港を寄せつけない程の機能性を持っています。これは空港をご利用された方は身をもって体感されるのではないでしょうか。
 海運に関しては、現在でもコンテナ港でのコンテナ扱い量も世界のトップレベルの量を誇っています。コンテナを取り扱うタンジョンパーガーやパシパンジャンのガントリークレーンの立ち並ぶ姿は圧巻です。

 シンガポールの首相が米国を訪れた折にインタビューで答えた様に、この国は国の規模からして失敗する事が許されない面があります。
 常に廻り続ける独楽(コマ)である必要があるとも言えるかも知れません。
 これが現状に満足することなく、さらに上を目指すという政府の施策に反映されているものだと思えます。

 余談ですが、このシンガポールの巨大なインフラ・プロジェクトが、隣国JBのイスカンダル開発にどう影響をするか?好影響か否か?これはイスカンダルでの投資に関係する方にとって熟慮する必要がありそうです。