【三浦コラム】年金制度(1) / 日本とシンガポールの違い

日本では金融庁からの報告書問題で、公的年金の将来像に不安を持つ人たちが増えてきたのではないでしょうか。

今回の参議院選挙でもこの年金問題が争点のひとつとなっているほどに、皆さんの関心の高いものだと思われます。

「シンガポールの年金制度と比べて日本の年金制度は・・・・・・」という日本語の記事も時々目にしますが、肝心なところが記載されていないようです。

当コラムでは、わかりやすく2ヶ国の制度の違いを提示できたら、と考えます。

  1. 日本とシンガポールの年金制度の違い
  2. 日本の年金制度
  3. シンガポールの年金制度

日本とシンガポールの年金制度の違い

まずは簡単な表にしてその違いを見てみましょう(細かな点はわかりやすくするため、省略)。

日本 シンガポール
名称 国民年金・厚生年金 CPF(CPF Life)
制度 賦課方式 積立方式
実施機関 日本年金機構など CPF(Central Provident Board)
支給条件・対象 10年間(月単位で計算)の年金保険料納付
(日本人・その他)
最低金額積立を該当口座に持つこと
(シンガポール人・永住権保持者など)
支給年齢 65歳 65歳
加算要素 企業年金・その他 自己積立による加算(上限あり)
概算支給額確認 年金定期便 該当口座残高による概算
支払い年齢 20歳から60歳まで 65歳まで

年金制度の大きな違いは、賦課方式(日本)と積立方式(シンガポール)ということです。

  • 賦課方式とは、現在収められている保険料をその時点での引退世代への給付に充てるものです。

日本の現役世代の年金保険料は、現在年金を受け取る人のために使われているということになります。

この方式は、インフレの影響を受けにくい反面、人口比による原資の減少が起こり得ます。

デフレかつ少子高齢化の日本で、まさに問題となっている点です。

  • 積立方式とは、自分が収めた年金保険料を自分の将来の年金支給額に充てるものです。

シンガポールでは、月々積み立てられた金額が55歳時にRetirement Account(引退口座)に移行し、それを原資として65歳からの支給額が定まります。

まさに、自分が収めたお金に比例して支給額が決まります。

この方式は、人口比による影響がない反面、インフレの影響・運用による目減りが起こり得ます。

次回は、まずは日本人にとっては身近な日本の公的年金制度について書いてみたいと思います。

年金制度(2) / 日本の年金制度 年金制度(3) / シンガポールの年金制度